「ブラジル向けの四輪車はすべてフレックス車に切り替える」
そこでブラジルに進出している自動車各社は、耐食性の強い部品を使ったり、エンジン始動時に発火を助けるガソリン注入装置をつけたりして、エタノール対策に懸命だ。どんなエタノール混合率にも対応できるようにしたのがフレックス車で、イタリアのフィアットを手始めに、独フォルクスワーゲン、米GM(ゼネラル・モーターズ)、フォード・モーターなどが相次いでフレックス車の投入に踏み切った。日本のホンダも2006年末から「シビック」、「フィット」、トヨタ自動車も2007年春から「カローラ」のフレックス車を発売した。
ホンダの主力工場であるサンパウロ州スマーレー市のホンダブラジルの四輪工場で対応してくれたツヨシ・ナツメダ取締役は「ホンダのフレックス車は、エンジン始動を補助するガソリンタンクをエンジンルームから離れた外側に出すことで安全性を確保した。必要部品は日本から取り寄せているが数量が増えれば現地化もありうる。ここでは輸出車も生産しているのでフレックス車とガソリン車のへ併用生産ラインだが、10月にはブラジル国内向けの四輪車はすべてフレックス車に切り替える」と語った。
ブラジルではフレックス車の普及が急速に高まっており、2007年上半期では全新車販売台数約百十万台のうち約80%がフレックス車が占めた。ブラジルの新車販売は10%を超える勢いで伸びており、2007年は前年比15%増の二百三十万台にのぼる見通し。今後バイオエタノールが国際的に広がる中で、フレックス車が自動車業界の環境戦略に与える影響は大きい。