7月からエタノール25%混合が義務化される
ジャンキ会長の楽観論を支えるのは、原油の高騰と地球温暖化対応を背景にガソリンの最大のユーザーである自動車業界でバイオエタノールを導入する動きが活発になっていることだ。世界最大のサトウキビ生産国であるブラジルでは1970年代の二つの危機を機に、サトウキビ原料のバイオエタノール増産に力を入れてきたが、2007年7月からはエタノールを25%ガソリンに混合することを義務づけた。
ブラジルのガソリンスタンドで提供するガソリンには自動的に25%エタノールが混合されているわけだが、スタンドでは通常ガソリンスタンドと同時にエタノール(表示はアルコール)スタンドも併設されている。エタノール価格は混合ガソリンより大幅に安いが、エタノールの燃費効率はガソリンより劣るため、人々はその日の価格設定などを見ながら混合ガソリンにするかエタノールにするかを決める。
私がサンパウロ市郊外で見たブラジル石油公社ペトロブラスのスタンドでは、ガソリンがリッターあたり2.399レアル(1ドルは約2レアル)に対し、エタノールは1.095レアルと約半値だった。ガソリンとエタノールの価格差は時期によっても違うが、原油価格の急激な値上がりを反映して値上がり気味のガソリンに対し、比較的落ち着いた価格推移を示しているエタノールはそれなりに人気を集めている。
エタノールがまったく含まれないガソリンの販売が禁止されたことで対応に追われているのは自動車業界だ。京都議定書で植物由来のエタノールは成育過程で二酸化炭素を吸収するので地球温暖化に貢献すると認められたこともあり、世界的にバイオエタノール使用が見直されているが、エタノールのオクタン価はガソリンより高いが、発熱量はガソリンの0.6と燃費が悪いほか、水との親和性が強いため腐食耐性を強めるには燃料系統部品の強度を高める必要がある。また揮発性が低いため気温が低いときなどにはエンジン始動時に発火性を高めてエンジンをかかりやすくする工夫などが必要。