麻生裏切り情報が流された?
各紙の報道では、福田氏出馬が安倍首相への「クーデター」とみなせるような見方はない。飯島氏がもしこの言葉を使ったとすれば、福田氏支持の動きに不快感を持ったためだろう。確かに、麻生派を除く8派閥が福田氏支持に回った背景には、麻生潰しとも言える福田氏周辺の思惑があったようだ。
各派閥は、人事権を握ってポスト安倍の地位を固めた麻生氏が優位に総裁選を進める様子に焦っていた。そこに、麻生裏切り情報が流された。そして、福田氏が出馬表明すると、麻生氏に反感を持った各派閥が雪崩を打ったように支持に回った。改革に否定的な発言をする麻生氏に不満を持っていた片山氏ら小泉チルドレンも、次々に取り込まれていったというわけだ。
清水編集委員も、中川氏らが小泉チルドレンを「福田支持へとしっかり誘導したのは確かだ」と断定している。
ただ、麻生氏も、クーデターと言えるかどうかは別にして、自らの有利に事を進めようとしたのは確からしい。
大勢は「麻生クーデター」説だ。
ある政界通は、J-CASTニュースに対し、こんな話を打ち明けた。
「麻生さんが安倍首相の辞意を聞いたのは、2日前でなく、実は3日前だったという話なんです。『これでオレのところに政権が来る』と浮かれてどんちゃん騒ぎをした。それが知られるのがいやで、2日前ということにしたんじゃないかな。内閣改造後、安倍首相は何も知らされずに、陰謀にやられた、と周囲に漏らしていた、と聞いています。安倍首相は参院選直後から辞めたいと漏らしていた、という人もいます」
自民党の総裁選は当初、14日告示、19日投開票の短期決戦で組まれていた。清水編集委員によると、幹事長の麻生氏が、
「ここは緊急事態なので麻生しかいない」
と思わせるために仕組んだのではないか、との憶測が広がっていたという。真相は明らかではないが、「麻生裏切り情報」のせいで、麻生氏には逆に不利な展開になった。
クーデター仕掛けたのはいったい誰なのか。政界は、魑魅魍魎として分かりにくい。