「これはクーデターですよ」。安倍潰しがあったと怒った片山さつき衆院議員。クーデターの黒幕は、2007年9月23日投開票の自民党総裁選に出た麻生太郎幹事長(67)とされた。しかし、ここに来て、「福田クーデター」説まで出てきているというのだ。いったい、政界はどうなっているのか。
「首相の辞意を知っていたのは私だけではない」
出馬を巡って様々な陰謀説が流れる福田氏(右)と麻生氏
総裁選報道の流れが変わったのが、2007年9月19日。それまでは、安倍晋三首相が辞任表明直前、側近議員に「麻生に騙された」と語ったと報じられ、「麻生クーデター」説が広まっていた。ところが、この日、入院中の安倍首相が「そんなことは全然ない。麻生さんに悪いことをした」と述べたと報じられた。
それを受けたかのように、麻生幹事長が19日、「首相の辞意を知っていたのは私だけではない」と発言。それが誰なのか話題になり、与謝野馨官房長官が、この日の記者会見で、総裁選では福田康夫元官房長官(71)を推す中川秀直前幹事長であることを示唆した。いわく
「中川氏は幹事長として(安倍首相と)信頼感を持って1年間やってこられた間柄ですから、(辞意を聞いていても)ちっとも不思議ではない」
人事権を握ったとされたことから「麻生―与謝野ライン」と言われたのがうなずけるほど、見事な連携プレーだった。
中川氏が実際に辞意を知っていたかどうかは不明だが、福田氏出馬を巡っても様々な憶測が出てきた。日本経済新聞の清水真人編集委員は、日経ウェブサイトに9月19日掲載したコラム「安倍晋三の退陣と『麻生クーデター』説の怪」で、次のような意外な話を紹介した。
「麻生クーデターかと思っていたら、実は福田クーデターだった」
小泉純一郎前首相腹心の飯島勲秘書官は、小泉前首相に退職届を提出した9月13日、こう言い残して永田町を立ち去ったというのだ。各紙の報道では、飯島氏は、小泉前首相の擁立を目指して挫折したあと、飯島氏と犬猿の仲にあるとされる福田氏を小泉氏が支持したことに嫌気が差して辞めたという。