キャンパス温泉構想の悲劇 1,500m掘っても出なかった

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学長自ら「良質な温泉がわき出る」と太鼓判

   大学と温泉については、金沢大(金沢市)が07年春、キャンパス内に足湯をつくり市民にも開放している。もっとも湯温が低く法律上は「温泉」を名乗ることができない。温泉研究所員によると、大学関係では地震や微生物の研究のため地下深くまで掘削し、ついでに「温泉が出れば活用したい」という狙いで掘削を始めた例はいくつかの大学であった。しかし、本格的な温泉掘削の例は立正大以外は知らないという。

   立正大は、「普通」の探査をしなかったのだろうか。温泉掘削計画当初から同大学長だった高村弘毅学長は、日本地下水学会長を務めたことがある「地下水脈」の権威だ。学内には、地下の水や地盤を研究する教員らもいる。07年1月16日の朝日新聞(埼玉県内版)は、「学長自ら『良質な温泉がわき出る可能性が高い』と太鼓判を押し、全国の大学でも余り例がない温泉の掘削にゴーサインが出た」と報じている。

   掘削前の探査はどのように行われたのか、とJ-CASTニュースが立正大の学長室に取材した。すると学長室は、専門業者に調査を依頼はしたが「全面的にしっかり調査を、という所までは(依頼が)行っていなかった部分もあるようだ」と歯切れが悪い。大学関係者が掘削する場所をほぼ決めたのかという疑問に対しては、「全面的に決めた、ということはないものの、はっきりしない部分もある」。

   「温泉の夢」が消えた後、今後どうするのか。掘削跡はそのままにし、今後活断層や地下水の研究に充てる。「無駄ではない」という訳だが、温泉が出なかったことについては、学長室は「学内全体として非常に残念だと受け止めている」と答えている。

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