「無断充電」が犯罪として摘発された例は少なくない
本来使うべきでないコンセントから勝手に電気を拝借してしまう人にそれほど「犯罪意識」はない。しかし、過去には「無断充電」が犯罪として摘発された例も実際にあるから要注意だ。
大学生がパン屋のコンセントを使って携帯電話を充電、5銭相当の電気代の窃盗容疑で摘発(06年5月)。出張中の会社員が無断で駅構内の清掃用コンセントの電源でノートPCを使用し、電気代約1円の窃盗容疑で摘発(04年2月)。飲食店の外にあるコンセントをつかって約5分間にわたって携帯電話を充電、約1円の窃盗容疑で摘発(03年9月)――いずれも「無断充電」が「窃盗」とみなされ「御用」となっている。
元検察官の落合洋司弁護士は、「無断充電」が「即、窃盗になるとは限らない」と指摘する。「充電の承諾」が店などから表示されてなくても、客側が承諾があるものと信じてしまった場合などは、犯罪の成立状況を満たしていないとされる可能性もあるという。ただし、明らかに「掃除用のコンセント」の場合などは「危ない」というわけだ。
「コンセントを使う場合は管理している人に聞くことは必要。犯罪にならなくても無断で充電することは人の常識に欠ける。(今回の1円の窃盗で送検された事件の場合)モラルの低下に警鐘を鳴らすという意義を読み取ることもできなくはない」
ただ、落合弁護士は、今回の事件について次のようにも指摘する。
「敢えて立件する価値があったのかは疑問がつきまとう。これで立件するなら、ほかにも立件すべきことはあるのではないか。警察の冤罪事件などの不祥事がある中で、国民が見たら、警察のバランス感覚が狂ってるんじゃないかと思うこともありうるだろう」
大阪府警松原署には「1円でそこまでするのか」といった抗議の電話が複数あったという。