中川昭一、鈴木宗男の政治団体100以上! こんなに必要なのかという疑問

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   多くの政治団体を持つ政治家の資金の流れをあぶり出す「政治資金データベース」(2004年版)を、日本インターネット新聞社などがほぼ完成させた。そこから、100以上もの関連する政治団体を持つ政治家がいる、などという驚愕の事実が分かった。政治団体の数を多くして、政治資金の流れを不透明にしているのではないか、という疑問が出かねない実態だ。

「団体の数を多くして、資金の流れ不透明にしていないか」

「政治資金データベース」で、武部勤・元自民党幹事長の名を検索すると、40の政治団体がヒットした
「政治資金データベース」で、武部勤・元自民党幹事長の名を検索すると、40の政治団体がヒットした
「事務所経費はデタラメ、寄付金が未記入、収支のつじつまが合っていない。こんな政治資金規正法上の問題がたくさん出ています。政治団体は年に1回、政治資金収支報告書を行政に提出しますが、こんなにたくさんあるので、誰もチェックしていない。だから大丈夫だろう、という政治家のおごりが問題を生んだ原因です。しかし、ネットの時代になって、政治団体ごとにバラバラの報告書をデータベースにまとめられるようになりました。そこで、政治家ごとに政治団体の報告書を検索できるようになれば、政治団体の間に『横串』を刺せると思ったのです」

   日本インターネット新聞社の竹内謙社長は、「政治資金データベース」の構築を始めた動機をこう語る。同社は、市民記者によるニュースサイト「JanJan」を運営している。竹内社長は、元朝日新聞政治記者で鎌倉市長も務めた政治通だ。竹内社長は、「データベースを多くの人に活用してもらって、政治家が政治団体の数を多くして、政治資金の流れを不透明にしていないか、チェックしてもらいたい」と話した。

   データベースは、2004~6年までを08年3月に完成させる予定だ。このうち04年分の作業がほぼ終わった。その結果、政治家が多くの政治団体を抱え、巧みに政治資金を集めている実態が明らかになってきた。

   うち最も政治団体の数が多かったのが、中川昭一・元自民党政調会長(衆院北海道11区)。なんと154もあった。次いで、鈴木宗男・新党大地代表(衆院比例北海道ブロック)の108。ほかの政治家は、多くて80台だった。竹内社長によると、政治団体の名前に政治家の名前がついている、会計責任者が政治家の資金管理団体と同じ、などの基準で選んだ結果だという。なぜこんなに多いのだろうか。

「選挙区が広いから」と中川、鈴木両氏

   中川、鈴木両氏はかつて、中選挙区時代の北海道5区でライバル同士。中川氏は農水相などを務めた故中川一郎の長男、鈴木氏は一郎の元秘書だ。J-CASTニュースが、こうした点に何か関係があるのか、まず中川氏の事務所に取材した。すると、樋口隆史秘書は、154という数を認めたうえで

「隣町まで片道40分かかるほど、選挙区が広い。だから、地域ごとに73の後援会ができました。そのほかに、中川を応援する有志の会もある。一郎の後援会を受け継いだために多くなった部分もあると思います」

と説明した。政治団体の数を増やして政治資金を不透明にしている実態がないのかを確かめると、樋口秘書は

「批判は当たりません。細かく分かれている方が密度の濃い活動ができますし、収支報告も細かくできて透明性を高めることになります」

と反論した。5万円未満は報告義務がないことを利用して政治資金を分散させている可能性については、「決してそういうことではない」とした。

   鈴木氏の事務所に取材しても、同じような答えだった。宮野明秘書は、J-CASTニュースの取材に対し、

「関係政治団体は、100ぐらいあります。中選挙区時代は、6市55町村ごとに後援会があり、そのまま抹消届けを出さずに残っているものも多いです。ほかに鈴木が好きでできた会があり、中川一郎からの流れもあります。(不透明にしているとの批判は)うがった見方でしょうね」

と答えた。

   日本インターネット新聞社は、NPO法人「情報公開クリアリングハウス」と共同で、このデータベースを2006年から1年かけて準備してきた。大学院生らのボランティア10人前後を毎日動員し、全国に約7万もある膨大な政治資金収支報告書のデータを入力してきたという。

   2007年3月19日からは、「JanJan」のサイト上でデータベースのテスト版を公開している。まだシステムに具合が悪いところがあり、中川、鈴木両氏のデータは見られないが、利用できる政治家もいる。試しに、旧北海道5区で中川、鈴木両氏とライバルだった武部勤・元自民党幹事長(衆院北海道12区)を検索すると、40の政治団体がヒットした。

   データベースは、10月中旬には正常化する予定という。現在はテスト版のため利用は無料。08年3月には、「政治資金データベース」とは別に、企業名から献金した政治家リストを表示したり、政治家が開いた政治資金パーティーを検索したりすることなどができる「高度検索版」(仮称)もアップする予定だ。

   「政治資金データベース」の利用が進めば、政治資金の流れもある程度解明されるはずだ。

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