市場から大量にグレープフルーツ入りの箱を大量に盗んだ男が、箱にGPS(全地球測位システム)端末が仕込まれていたことから犯行が発覚、御用となった。実はこのGPS、防犯用に様々な場所で活用され、成果を上げている。
果物の箱にGPSを忍ばせていた
GPSが防犯に役立っている(写真はイメージ)
警視庁東京水上署は2007年9月13日、東京都中央卸売市場大田市場(大田区)からグレープフルーツ4,000個(約35万円相当)を盗んだとして、運送会社員の中村和雄容疑者(40)を逮捕した、と発表した。
中村容疑者は青果専門の運送業者として同市場に出入りしており、5月19日から21日の間、グレープフルーツの段ボール箱121箱を盗んだ疑いが持たれている。盗んだグレープフルーツは約15キロ離れた淀橋市場(新宿区)に運び、知人に「売りさばいてくれ」と依頼。調べに対しては「子どもの養育費にあてるつもりだった」などと供述しているという。
興味深いのが、犯行が発覚した経緯だ。実は大田市場では06年末以降、オレンジ・キウイなどの窃盗被害が相次ぎ、卸業者側も自衛策を講じていた。具体的には、果物の箱に全地球測位システム(GPS)端末を忍ばせていたのだ。今回の事件では、被害者が、盗まれたグレープフルーツが淀橋市場に移動しているのを発見、警察に通報し、容疑者の特定につながった。
今回威力を発揮したのは、大手警備会社「セコム」が提供するGPS端末のレンタルサービス「ココセコム」。パソコンや携帯電話の画面で、端末の位置を確認できる仕組みだ。同サービスは01年4月に開始。貸し出している専用端末は、お年寄りや子どもの迷子防止のための「人用」と、盗難された際に所在地を突き止めて捜索するための「物用」の2つに分かれるが、07年3月現在でレンタル契約数は34万1,000件に達するという。利用料金は、「物用」の場合で、月々945円(税込)から。