「ゆとり」という表現 ネットでは他人けなす言葉

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

蔑称として使われ出したのは05~06年ごろから

   ITジャーナリストの井上トシユキさんによると、「ゆとり」が蔑称として使われ出したのは05~06年ごろ。少年によるホームレスの襲撃事件など少年犯罪が相次いだのを受けて、2ちゃんねる上で「これだから『ゆとり世代』は…」という声が相次いだ末に生まれた言葉なのだという。

   もっとも、「ゆとり」という言葉が蔑視の対象としている「ゆとり世代」は、かなり幅が広い。「ゆとり世代」とは、02年度以降に実施された「新学習指導要領」のもとで義務教育を受けた世代のことだ、という声が多い。その一方で、それより10年前の1992年に実施された学習指導要領では、

「小学校低学年の理科・社会科が廃止され生活科が導入されるなど、この段階ですでに『ゆとり教育』の基本的な流れは出来上がっていた」

という声もあり、解釈によっては、30代前半も「ゆとり」世代に含まれることになる。

   井上さんは、かつて2ちゃんねる上で使われていた「厨房」という言葉になぞらえ、

「もはや語源とは関係なく、完全に記号化していますね」

と話す。「厨房」は「中坊」が変形し、中学校レベルの知能の未熟さを揶揄する言葉として登場したものだが、次第に「中学生」の意味を含んで使われることは少なくなり、単なる蔑称として使われるようになった。これと同じ経過をたどりつつある、という見方だ。

   さらに、「ゆとり」は、これまで使われてきた蔑称である「厨房」「DQN」に代わる言葉になるといい、

「蔑称も世代交代が進んでいるのではないでしょうか。さらに、この『ゆとり』という言葉、『DQN』という比較的ストレートな言葉に比べて、一段階置かないと、意味が理解出来ないですよね。そういう言葉が一般化しつつあるあたり、ネットユーザーも進化してきたのではないでしょうか」

と話している。

   なお、「DQN」という言葉は、テレビ朝日系で放送されていた番組「目撃!ドキュン」で取り上げられる出演者に、暴走族出身者など過去に問題を抱えていた人が目立っていたことに端を発し、ネット上で普及した言葉だ。

1 2
姉妹サイト