盲導犬育成にロート株主が協力
07年4月、1頭の盲導犬が育成課程を卒業しデビューした。ロート製薬が06年3月末から導入した株主優待の社会貢献活動への寄付制度を使って育成した盲導犬の「第1号」だ。同社は年2回、1,000株以上を保有する株主に対して、5000円相当の自社製品のセットか、社会貢献活動団体への寄付のどちらかを選んでもらう。
盲導犬1頭あたりの育成費は約200万円が必要で、「毎回約400人以上の株主に協力いただいています」(広報部)という。同社はふだんから社員が任意で募金活動に取り組んだり、チャリティーオークションの収益金を会社とのマッチングギフトで寄付したりするなどの活動を行っている。現在の寄付先は「日本アイメイト協会」だが、「今後ようすを見ながら(対象先の拡大などを)検討したい」という。
広報担当者は「頂戴したメールなどを読むと、賛同していただけているようですし、当社のCSRを理解していただく一助になっていると感じます」と語る。
資生堂は1,000株以上の株式を保有する株主を対象に「資生堂オリジナルセット」を贈呈しているが、これに加えて05年度から「社会支援団体への寄付コース」を設けた。寄付コースを選ぶと、株主は「SHISEIDO社会貢献くらぶ『花椿基金』」を通じて、一人あたり5,000円を寄付する。同社の場合、株主とともに、ふだんからグループの社員が任意で花椿基金に積み立てている資金をあわせて贈る。
06年度にはDV(ドメスティック・バイオレンス)に悩む女性を支援する「全国女性シェルターネット」に338万5,000円を寄付。07年度は「全国色素性乾皮症連絡会」への寄付を予定している。同社広報部は「法人や海外の投資家の中にはモノでない方法での優待を望んでいる方もいて、その対応もあります」と話す。 株主としての立場や権利を行使して、経営陣に企業の社会的責任に配慮した経営を求める社会的責任投資(SRI)に関心を寄せる投資家も増えており、社会貢献型の株主優待制度を導入する企業は今後も増えそうだ。