円陣を組んで「最後までオレたちはやったぞ~」
国立大学の学生といえば、地域ではエリートとされる。サークルの学生たちは、落書きすることで観光客の楽しみを奪うことなどに気づかなかったのだろうか。
この点を聞こうと、J-CASTニュースでは、サークルのホームページにあった管理人のアドレスにメールを送って取材しようとした。しかし、削除作業が進められているのか、エラーメッセージが返ってきた。
名大はこの件にどう対応するのだろうか。広報室の担当者に取材すると、
「問い合わせが数十件来ていますが、まだ事実関係の確認中です。(鳥取砂丘への落書きは)景観を損なうし、法にも触れるので、あったとしたら残念」
と言葉少なだった。
鳥取砂丘では、北海道テレビが7年前のロケで番組名の「水曜どうでしょう」を砂に大書していたことが、07年8月に発覚。鳥取でも番組が放送されたことがきっかけだった。そして、環境省近畿地方環境事務所が8月23日、自然公園法違反(広告物の表示)に当たるとして同局を文書で厳重注意していた。
鳥取県などによると、落書きがあった馬の背では、「登頂」を記念して落書きする観光客が絶えないという。自分の名前のほか、「~さん好き」といった類の落書きだ。
小さな落書きはすぐ消せることもあって、大目に見られているようだ。しかし、こうしたケースでも、「よくないことなので、見つけたときは注意している」(浦富自然保護官事務所)という。北海道テレビや名大サークルのケースは、落書きが大きいだけに、メディアが報道する事態になった。ポータルサイトのニフティでは今回、「鳥取砂丘『馬の背』に落書き 今後対応について」の投票結果まで発表した。
ネットテレビ「アメーバビジョン」では、サークルメンバーが06年9月に投稿したとみられるビデオ「HUCKRALLY2006・1隊スタンツ」が放映されていた。それを見ると、落書き当日は、集団心理で常識的な感覚が麻痺していたのではないか、と思えてくる。それは次のようなシーンだ。
海辺の砂浜のような場所で、赤い上着に白いネクタイ姿のメンバー約20人が集まっている。
「僕たち1隊は、たくさんたくさん苦しいことがありました。地図を間違えて道に迷ったり、大雨が降って歩けなくなったり…」
そして、手をつなぎながらリーダーの指揮で1隊の歌を歌い、最後に円陣を組んで、こう叫んだ。
「最後までオレたちはやったぞ~」