北海道マラソンで愛を叫ぶ テレビ放映「のり子大好き」!

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   「のり子大好き」――テレビ中継で「北海道マラソン」を見ていた人の多くはこんな文字が目に入ったに違いない。この大会で優勝した加納由理選手と併走していた男性選手のユニフォームには大きく「のり子大好き」と書かれていたのだ。実はこの選手、前の大会でも同じことをしていて、「確信犯」らしい。陸連側は「好ましくない」としているが、「女性への思い」にはストップはかからなかった。

カメラに収まる絶妙の位置をずっとキープ

北海道マラソンで「のり子大好き」が全国放送された(フジテレビより)
北海道マラソンで「のり子大好き」が全国放送された(フジテレビより)

   「北海道マラソン」が2007年9月9日に開催され、加納由理選手(セカンドウィンドAC)が2時間30分43秒で初優勝した。加納選手は序盤から独走し、全国中継でも一際クローズアップされていたが、同選手と併走するかたちになった男子選手のなかに一際眼を引く選手がいたのである。

   その選手は、平沢直樹選手。アマチュア大会で多くの実績を残している実力派ランナーだが、彼が注目を集める理由はユニフォーム胸に書かれた「のり子大好き」の字。

   平沢選手は序盤、2番手集団の弘山晴美選手(資生堂)の後方を走っていたが、途中から女子選手の中でトップを独走していた加納選手の前を走り、30キロ付近から加納選手を映すカメラに収まる絶妙の位置をキープ。加納選手がゴールインする直前まで、「のり子大好き」の文字が全国のテレビ画面の上に躍り続けるかたちになった。

   フジテレビ系で全国放送された番組では、35キロ付近で解説の増田明美さんが「この平沢さんって、吉田さんが去年優勝したしたときもいましたよね」と述べ、06年に同大会で優勝した吉田香織選手が「そうですよね・・・ちょっとネーミングが・・・(笑)」と答える場面もあった。吉田選手も「のり子大好き」をはっきり覚えているようで、平沢選手はどうやら前回に続いての女子トップ選手との併走だったらしい・・・。

   「のり子大好き」の「のり子」は平沢選手の妻の名前。平沢選手のHPによれば、フルマラソンの最高記録は2時間21分42秒、数々のアマチュア大会で優勝するなど、ランナーとしての実力はかなり高い。高いからこそ、女子の優勝選手と42キロ併走する「アピール力」もあるというわけだ。

「今までの規定では何とも出来ないんです」

   「北海道マラソン」の主催者である北海道陸上競技協会によれば、平沢選手は06年の大会で、「のり子大好き」を「所属名」として登録。終始、ユニフォームの胸に書かれた「のり子大好き」がテレビ画面に映し出されたこともあり、日本陸上競技連盟などから「好ましい所属名とは思わない」との判断がなされ、「のり子大好き」は団体名と認められなくなった。そのため、平沢選手は日本陸連に登録しないで「未登録」の部門にエントリー。陸連に登録していないため、「日本記録を更新しても、公認されない」のだという。北海道陸上競技協会はJ-CASTニュースに対し、「走力はなかなかのものなんですよ」と平沢選手のマラソンランナーとしての資質を評価するものの、

「(「のり子大好き」は)団体名というより個人のメッセージですからねぇ。でも登録していない以上、今までの規定では何とも出来ないんです」

と話す。また、大会関係者からも「テレビにうつる方が大きな目的なんじゃないか」という声も聞かれるが、なんとも手の打ちようがないというのが主催者側の正直なところのようだ。一方、平沢選手はマラソンでの「記録」よりも「愛」を取った、ということになりそうだが・・・。

   ネット上では平沢選手の「活躍」は評判を呼んでおり、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「ミクシィ(mixi)」では、一方では「もっと早く走れるのではないか」といった指摘もあるが、「すごくステキ」「愛のために頑張って」などと「マラソンのなかで愛を叫ぶ」平沢選手に対して賞賛の書き込みが相次いでいる。

(9月10日午後9時追記)
平沢直樹選手はJ-CASTニュースに対し「北海道マラソン」について次のように述べている。

「『のり子大好き』はテレビ中継しない大会でもつけて走っているので、テレビは関係ないです。目立ちたいだけで前半だけ女子選手についていく選手がいますが、(女子選手にとって)走りにくいだけです。私は、ペースメーカーや風よけとしてエスコートしてあげられたらいいなと勝手ながら考えて走りました。でなければ、意図的に(トップの選手の)前で走れないです。テレビに映ったらラッキーだなというのはありますが、(「愛のために」)目立ちたいというモチべーションでは、過酷な練習はできません。北海道ではベストタイムが出せないので、ほかの大会ではベストタイムを目指します」
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