三菱商事、住友商事、双日が海外で権益取得
三菱商事は07年4月、カナダのウラン資源探鉱プロジェクト「ウエスト・マッカーサープロジェクト」に参画すると発表した。その後も、マレーシアの石油・ガス探鉱鉱区の20%の権益を取得したことや、新日本石油と共同で米メキシコ湾に油田を保有する会社を買収、さらにオーストラリアのジャックヒルズ鉄鉱床の資源開発事業にも参画した。
住友商事は8月28日、豪州タスマニアの、液晶ガラス基板に使用する「シリカ」の原砂鉱区権を取得したと発表。7月には、南アフリカに40億円を投じて鉄鉱石やマンガン、クロム鉱石を発掘する資源会社の権益を追加取得している。
双日は8月6日、カナダのタングステンを生産する会社・プライマリーメタルズに対して友好的な株式の公開買い付け(TOB)を仕掛けた。「当社は国家備蓄7鉱種(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム)を中心に権益を取得していきます」(広報部)とし、すでにモリブデンやバナジウム、ニッケル、セロクロムなどのレアメタルの権益をカナダや南アフリカ、フィリピンで取得している。
JOMOを経営するジャパンエナジーの「石油」と、日鉱金属の「非鉄」、傘下に2つの「資源」をもつ新日鉱HDによると、「携帯電話に液晶テレビ、冷蔵庫に洗濯機と、いまやレアメタルが使われていない家電製品はないですよ。需要が旺盛で、それらが業績を押し上げているのは事実です」と話す。
レアメタルの最大の対日輸出国は中国だ。中国は資源を国家戦略物資と位置づけて、資源の内需優先策や輸出税の増税などに取り組んでいて、日本のようなレアメタル消費国には不安材料となっている。たとえば、タングステンで中国は全世界のうち90%のシェアを占める。このように、レアメタルは産出国が偏っていることも特徴。希少なうえに偏在性もあり、大手商社は大金を投じ、資源の確保に世界中を奔走する、というわけだ。