懲戒処分職員が「A評価」 底なし社保庁の「常識はずれ」

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   年金問題に絡んで、厚生労働省とその外局の社会保険庁でまた「驚愕」の事実が発覚した。1つは、年金の「不正免除」で懲戒処分を受けた社保庁職員が人事評価で上から2番目に高い「A評価」を受けていたこと。そして、もう1つはネット上の百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」で、年金問題を追及した民主党・長妻昭議員の項目に中傷めいた記述が厚労省の人間によって書き込まれたことである。社保庁職員の年金「ネコババ」に次いで、「トンデモ」実態が溢れるように出てくる。

懲戒処分となった職員の能力は高い?

「不正免除」で懲戒処分の社保庁職員がなぜか「A評価」に
「不正免除」で懲戒処分の社保庁職員がなぜか「A評価」に

   2010年に社保庁から移行する「日本年金機構」の職員採用基準などを話し合う政府の有識者会議「年金業務・組織再生会議」が2007年9月5日に開かれたが、そこで社保庁から提出された「人事評価制度」についての資料で、こんな実態が明らかになった。国民年金の「不正免除」で懲戒処分されたにもかかわらず、06年4月~9月の「能力評価」で上から2番目に高い「A評価」を受けた職員が26人もいたのだ。

   「不正免除」は、見かけ上の国民年金の納付率をアップさせる目的で、社会保険事務所の職員が本人の了承を取らずに「勝手に」保険料免除の手続きを行ったというものだが、これに関与して懲戒処分となった職員を「能力評価」で上位にランクしたのである。

   社保庁は「役職階層に期待される実績・能力」を「S」「A」「B」「C」「D」の5段階で評価。同庁によれば、「実績評価」と「能力評価」の2つの評価基準があり、「実績評価」は賞与に関する基礎資料となり、「能力評価」は任用の参考資料として、昇給・人事などに反映される。「不正免除」で懲戒処分を受けた職員は、「実績評価」では全員「C」「D」とされたが、「能力評価」では、「A」が26人、「B」が78人(停職処分の職員は2人)、「D」が42人(同4人)と評価されていた。

   社会保険庁総務課人事担当者はJ-CASTニュースに対し、「処分については『能力評価』が高くても、国家公務員法の規定で昇給が遅延されたりするなど、国家公務員法が優先される」と、あくまで昇給などについては相応の処分が課されると説明している。しかし、「日本年金機構」への採用の際、基準になる可能性もある評価で高ランクしてしまったことに問題はないのか。同庁担当者は「(『日本年金機構』の採用基準が)まだ決まってない段階で何ともいえない」と答えるにとどまっている。

「書き込みする時間があるなら職務に励んでほしい」

   さらに、厚生労働省の職員が、年金問題を追及してきた民主党・長妻昭議員を中傷するような書き込みをインターネット上でしていたことも発覚。自由に編集できるインターネット上の百科事典「ウィキペディア」の「長妻昭」の項目について、職場のパソコンを使って、

「長妻は質問主意書に対する回答をもとに週刊誌のインタビューに応じたり、記事を売り込んだりしていると指摘し、また年金等の問題点を指摘する書物のソースは質問主意書に対する回答であることもあり、行政官を酷使して自らの金稼ぎにつなげているとの指摘もある」

   などと「恨み節」とも「中傷」とも受け取れる内容を06年4月の段階で書き込んでいた。これについて厚労省は、「日時、ログ、IPアドレスが分かっており、現在調査している段階」「処分については決まってない段階」としており、他の108件におよぶ書き込みについても調査を進めているとしている。

   さらに、長妻議員に関する書き込みについて厚労省としての見解を聞いてみると「大臣がテレビで述べていた通りです」との答えが返ってきた。ちなみに、舛添要一厚労相はテレビ朝日のぶら下がり取材に対し、

「バカなことしてないで書き込みする時間があるなら職務に励んでほしい」

   と憤慨しながら述べていた。

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