高校生ビンタの警察官 ネットでは「理解できる」98%

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   電車内で拳銃型のライターを乗客に向けた高校生を、神奈川県警大和署の巡査長が平手打ちして逮捕された。悪いのは高校生で、警察官の行為は理解できる――ネット上ではこんな見方が圧倒的だ。「高校生が何も罪に問われないのはおかしい」という声まで上がり始めた。

「巡査長支持」が大半、メールや電話の600件

ヤフーサイトの意識調査にある円グラフを見ると、小磯巡査長に同情的な声が圧倒的なのがよく分かる
ヤフーサイトの意識調査にある円グラフを見ると、小磯巡査長に同情的な声が圧倒的なのがよく分かる

   各紙の報道などによると、当日の状況は次のようだ。相鉄いずみ野線の上り電車内で2007年9月4日午後11時前、男子高校生(16)が、回転式拳銃の形をしたライター(全長36センチ)を乗客の方に向けるなどしていた。悪ふざけしていたらしい。たまたま、同僚と酒を飲んで帰宅途中だった神奈川県警大和署の小磯慶洋巡査長(33)が現場を目撃した。

   高校生が横浜市旭区の鶴ヶ峰駅で降りたあと、改札を出て階段下付近で「あんなものでいたずらしてはだめだ」などとライターを取り上げて口論となった。その際、小磯巡査長は、この高校生の顔を数回、平手打ちにし、顔面打撲のけがをさせた。

   小磯巡査長は、騒ぎを知って駆けつけた警察官に傷害の現行犯で逮捕された。小磯巡査長は、9月5日朝、処分保留で釈放されたが、県警では書類送検する方針だという。

   けがをさせたとはいえ、悪ふざけを注意した行動だったため、神奈川県警にはその後、巡査長支持などの声が相次いでいる。同県警広報県民課によると、07年9月6日昼過ぎまでに、メールや電話などで600件ものこうした声が寄せられたという。大半が、「逮捕は大げさでは」「あまり厳しく処分するな」といった同情的な意見だ。

   ネット上でも、巡査長に同情する声が相次いでいる。ヤフーが9月6日から始めた意識調査によると、同日午後5時の時点で、「高校生を注意し平手打ちした警察官の行動、理解できる?」との質問に約13万票もの回答が寄せられ、「理解できる」と答えたのは、そのうち98%と圧倒的だった。「理解できない」「わからない」と答えたのは、それぞれ2000、1000票ほどに過ぎない。

   ここで、「理解できる」とした人の回答のうち、多かったのが高校生をヤリ玉に上げる声だ。いくつかピックアップしてみると

「この高2の方は無罪放免ですか。はぁー?どうしてだよ、迷惑行為をしていたでしょうが」
「警察はこの高校生に対しても処罰しなければ、なにが正義であるか見失いかねない」

などなど。

軽犯罪法や迷惑防止条例で高校生を処罰できる?

   この点に関して、J-CASTニュースでは、神奈川県警に当ててみた。「高校生は罪に問えるのか」との質問に、広報県民課の報道係は、「現時点では、法令違反の部分は出ていません。事実関係を確認しようと、関係者に事情を聞いています。高校生を罪に問えないとは言えませんが、まだ分からない」とだけ話した。

   専門家は、高校生の悪ふざけをどう見るのか。刑法に詳しい日大大学院法務研究科の板倉宏教授は、J-CASTニュースの取材に対し、次のように答えた。

「もし、高校生が拳銃型ライターを乗客に向け、『席を譲れ』などと命令調で言っていれば、脅迫罪か強要罪になります。乗客に向かって発砲する格好をしていただけなら、そうですね。公共の場所で多数の人に対して、著しく粗野で乱暴な行動で迷惑をかけたとすれば、軽犯罪法1条13項の違反となります。神奈川県の迷惑防止条例に引っかかるかもしれませんね。少年の問題行為なら、非行として補導の対象になります」

   小磯巡査長の逮捕については、どうだろうか。これに対し、板倉教授は、「注意する人が少ない中で勇気ある行動だと思いますが、平手打ちするのはいけない。ですが、逮捕するまでのことかどうか。全治2週間までのけがなら、罰金ぐらいでしょう」と話した。

   ただ、正義感に駆られてのこととはいえ、小磯巡査長は当時、酒に酔っており、少ないながらも厳しい意見がある。前出のヤフー意識調査の回答に、「理解できない」と答えた人や回答なしとした人の中には

「単にむかついて殴っただけかもしれないのに」「警官はなぜ車内で即座に注意しなかったのか」

といった疑問の声が出ている。

   小磯巡査長自身は、調べに対し、「大変申し訳ないことをした」と話しているという。

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