開催中の世界陸上大阪大会の運営をめぐり、なにやらさわがしい。テレビ中継の視聴率は「そこそこ」のようだとはいえ、スタジアムでの空席を指摘する声も多い。さらに、「手配ミスでホテルの部屋が選手に割り当てられなかった」「システム障害でボランティアのシフトが消失」した、といった声が挙がっているのだ。運営側はこれらの事実を否定しているが、大会ボランティアのサイトからは、現場が混乱している様子が伝わってくる。
チケットの売り上げが苦戦
掲示板では、混乱を訴える声も
2007年8月25日に開幕した世界陸上だが、主催者の国際陸上競技連盟(IAAF)が8月28日に発表したところによると、序盤2日間の国内テレビ放送の平均視聴率は16%。IAAF側は、これを会見で「好調な数字。多くの人が注目している」と評価したほか、AP通信でも8月28日、26日の男子100メートル決勝は20%を記録した、と報じている。同記事では、わざわざ「日本で最も人気があるスポーツ中継である野球の視聴率が10%」と断っており、視聴率が好調に推移していることを強調している。
J-CASTニュースの「テレビウォッチ」でも連日指摘されているように、国内独占放送権を持つTBSの過剰とも言えるPR作戦が功を奏した可能性もありそうだ。
ところが、視聴率は「及第点」でも、「客席はガラガラ」「ホテルに選手の部屋が用意されていなかった」といった、バタバタぶりを伝える報道が相次いでいるのだ。
週刊文春と週刊新潮(それぞれ07年9月6日号、首都圏では07年8月30日発売)では、金メダルを期待されていたハンマー投げの室伏広治選手がまさかの6位に終わったことなど、日本勢の苦戦でチケットの売り上げが苦戦している様子を伝えている。
確かに、大会組織委員会の広報報道室に確認してみると、チケットの売り上げ目標は51万枚なのに対し、現在売れているのは、そのうち53%。「かなり売れ残っている」と受け止められそうな数字だが、同委員会側では「陸上競技がまだメジャーとはいえない日本にしては健闘しているのでは」と話している。
さらに、毎日新聞は07年8月29日、エリトリア選手団の選手5人が、宿泊先のホテルに部屋が確保されておらず、「1階ラウンジの床に毛布を敷いて夜を明かしたことが分かった」と報じている。さらに、同じ記事には大会組織委員会側の
「エリトリアの選手が床で寝たことは報告も受けていないし、確認していない」
とのコメントも掲載されており、混乱ぶりを浮き彫りにしている。もっとも、組織委員会側は、
「毎日新聞の取材を受けたあとに事態を把握した。ホテルでは、チェックインに時間がかかる状態で、ホテル側から毛布を配布したという事実はあった。だが、エリトリアの選手は別のホテルに移動、チェックインしており、『床で夜を明かした』ということはない」
と反論している。