日本マクドナルドは、出店している地域によって価格を変える「地域別価格」を2007年6月に導入したが、全国約3840店舗のうち結果的に値上げになったのは07年8月下旬で90%にのぼる。中には、当然値下げと思われた地域でも値上げになっているようで、「実は、全国一斉値上げだったんじゃないの?」という疑問まで出ている。
「ビッグマック」セットが10円、40円、60円値上げ
「マック」、全国90%の店舗で値上げ
日本マクドナルドの「地域別価格」導入に関しては、J-CASTニュースが07年5月25日に「地方で値下げ東京は値上げ?原田社長がぶちあげたマック新戦略」で報じたように、テレビのインタビューで原田泳幸社長は、
「東京も地方も同じ値段で売って良いのだろうか。東京で損して地方でもうかるのはおかしい。地域ごとの価格があってもいいのでは、と真剣に考えている」
と語っていた。つまり、都会で価格を上げ、地方では下げると取れる内容だった。
しかし、07年8月27日付け日経流通新聞(日経MJ)によると、「地域別価格」を導入した07年6月以降、値上げになったのは35の都道府県で、据え置きは同7、値下げは同5。店舗数では値上げが3515店舗、据え置きは197店舗、値下げは130店舗となっている。
上げ幅は「ビッグマック」のセット(従来価格は税込み580円)を例にとれば、地域によって10円、40円、60円。下げ幅は20円の一律だ。驚くことに同紙は、東北地方の例を挙げ、最低賃金や地価ともに高水準の宮城県で値下げしたが、最低賃金や地価が一番低い秋田県で値上げになった、と書いている。これでは、「地域別価格」の戦略意図がわからない。
価格よりもあくまで価値にフォーカスした結果?
J-CASTニュースが日本マクドナルドに取材すると、同社広報は「全国の90%の店舗が値上げになっていることは否定しない」と語った。しかし「地域別価格」を謳っているならば、地方で値下げの店舗がもっと出てもいいはずだ。
同社広報によると今回の価格設定は、「デマンドベースプライシング」という価格設定手法を取ったのだという。これは、各地域の顧客満足度に沿って価格を決め、売り上げアップを狙うものだそうだ。最低賃金や地価が低いのは値下げする要因だが、一方で、店舗改装や、ドライブスルーの設置、接客教育などに投資し店舗の「価値」が高い場合、それに見合った顧客の納得いく価格を設定する。それが今回の「地域別価格」導入に反映しているのだという。値上げするための理屈、といっては言いすぎだろうか。
「『値上げ』と言ってしまえば消費者から反発を買う可能性があるため『地域別価格』にしたのではないか?」とのJ-CASTニュースの質問は否定し、「価格よりもあくまで価値にフォーカスした結果」であることを強調した。