「技術屋のプライド」抑えられるか
05年10月に8.7%を出資し、富士重工の筆頭株主になったトヨタは、
「今の段階でどのユニットとは考えていないが、水平対向や4WDなどの富士重工の高い技術力を活かしたい」(木下光男副社長)
と、当初から富士重工の持つ技術のトヨタ車への活用を示唆している。
富士重工側にとっても、新たな刺激になる可能性がある。
6月に発売した新型インプレッサも、「車内空間の拡大」や「収納スペースの確保」などを前提に設計を行うなど、トヨタとの提携で発想の転換も感じられた。
今回浮上したライト層にターゲットを絞った低価格スポーツカーは、1,000㏄~1,500㏄クラスのコンパクトカーのエンジンやシャーシを流用して「格安車の開発」を進めていくものとみられる。これは、以前の富士重工だったら取り組むこともなかったテーマだろう。
「トヨタのバッジで売るクルマ」をつくることを、「技術屋」としてのプライドが受け入れられるかどうかがポイントだ。それを乗り越えて、富士重工の本領を発揮してクルマ好きをうならせるスポーツカーに挑戦できれば、案外、面白い結果になるのかもしれない。