米国で販売開始された米アップル社製の携帯電話「iPhone」。米国では大人気で、アップル社の当初の販売目標を大きく上回るのではないかといった推測が早くもされているが、何故か販売されていない日本国内でも、購入者がいるほどの人気ぶりなのだ。国内携帯事業者の「iPhone」導入はあるのか。
欧州で発売される日もそう遠くはなさそう
アップル社「iPhone」の国内発売が消費者には期待されている
アップル社が2007年6月29日(日本時間30日)に新型携帯電話「iPhone」を全米で発売して2ヶ月ほどになる。通常の携帯電話に搭載されているキーパッド(ボタン)をやめ、タッチパネルを採用した斬新なデザインであるほか、アップルが運営する「iTunes」から音楽がダウンロードできる。米国での発売日にはアップル直営店に行列ができるほどの人気ぶり。
07年8月22の米国の報道では、アナリストが「iPhone」の第4四半期(7月~9月)の販売台数が80万台を上回るとの見方を示しており、当初のアップル社の販売目標である73万台を大きく上回る見通しだ。さらにアップルは、オンラインストアで8ギガバイトモデル・4ギガバイトモデルについて、オンラインストアでの小売価格を100ドルほど値下げした。07年8月22日付けのニューヨークタイムズは、27万台の「iPhone」が8月20~21日の2日間で販売されたとアップル社が述べていると報じており、販売台数はますます増えそうな勢いだ。
さらに、独フィナンシャル・タイムズは8月21日に、欧州携帯電話大手の「T-Mobile」(独)「O2」(英)「Orange」(仏)と「iPhone」の販売事業で提携することで合意したと報じており、「iPhone」が欧州で発売される日もそう遠くはなさそうなのである。
となると、期待されるのは日本での販売。早くも日本国内でも人気が沸騰中だ。ネット上では、「iPhone」についての情報交換がなされ、国内での発売を求める署名活動も行われた。
ブログサービス「もごもご」を運営するドラゴンフィールドは07年6月21日に国内での「iPhone」発売を求める署名運動を同ブログを通じて開始した。「docomoでほしいっす」「softbankで欲しい~っ」といったコメントがすでに多数寄せられている。どうやら「iPhoneを日本で使いたい」と願う同社のスタッフが立ち上げた運動のようで、5,000人分の署名が集まった時点で米アップル社に届けるとしている。
さらには、国内で使用できないにもかかわらず、実際に購入してしまった人までいるようだ。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)最大手の「ミクシィ(mixi)」では、早くも購入者のコミュニティがあり、通話ができない国内にいながら「iPhone」の所有者になっている人たちの姿が垣間見れる。
通話ができないが、「もっぱらビデオ視聴がメイン」
「電話使えないけどそれ以外つかえてますので満足です」
「日本で PrePaid 契約をして activate して、単なるWiFi PDA として使っています :)」
「ワタクシは日本在住なのでロスの友人に買ってもらったものを使用しています。もっぱらvideo視聴がメインです」
「日本在住なので電話なしのiPod付きPDAとして使ってます」
日本では携帯電話としての通話はできないが、通話ができないなりに「iPhone」の機能を楽しんでいるようなのだ。さらに「ミクシィ」では、オークションサイトの価格や付属品についての情報交換がなされており、早くもファンを獲得している模様だ。
こうなれば、日本での発売も間近いのでは?とも思えるが、どうやらそうは行かないようだ。米国での「iPone」発売時には、NTTドコモやソフトバンクが導入に「前向き」との報道がなされたこともあった。しかし、J-CASTニュースの取材に対し、ドコモ広報は「興味はあるが導入については未定。国内外のメーカーについては広く検討しているが、iPhoneについては本当に何も決まっていない」。ソフトバンクモバイル広報も「何も決まっていないので、お話できることはない」としている。
「iPhone」はGSMという通信方式を採っており、国内に導入するためには、ドコモやソフトバンクが採用している3G(第3世代)携帯電話の通信方式(W-CDMA)による端末を新たに開発しなくてはならない。さらには、アップルは通信事業者に「iPhone」の通話料金の一部を支払うように求めているという話もあり、こうしたアップルのビジネスモデルを国内の通信事業者が受け入れられるのかという問題も大きい。