個人投資家向けの金融商品「外国為替証拠金取引」(FX取引)が揺れている。米国のサブプライム住宅ローンをめぐって世界中で株式市場や為替、債券相場が乱高下を繰り返し、個人投資家のブログなどでも「真夏の世の夢というよりも、真夏の悪夢」(投資家ブログ)、「証拠金全滅、トホホ…」(FX投資家のブログ)といった悲鳴が聞こえてきた。
FX取引を打ち切る個人投資家が続出
FX取引で大損する投資家が続出
2007年8月22日付のフジサンケイビジネスアイは「FX長者、一転の大損 円急騰に泣いた個人投資家」の見出しで、FX取引で大損し取引を打ち切る個人投資家が続出していると報じた。円急騰のきっかけのひとつになったのは、米国のサブプライム住宅ローンと呼ばれる、通常よりも高い金利で販売されている低所得者向けの住宅ローン。
そもそも、米国で問題のサブプライム住宅ローンは、そのローン債権を証券化した債券が「元凶」といわれる。米国ではさまざまなリスクの債券を混ぜて新たな債券として販売するといった複雑な債券も取り扱っていて、「サブプライム債券」もこうした債券に再度混ぜ込まれて売られた。
つまり、質の悪い肉(リスクの高いサブプライム住宅ローンのような債権)と、まあまあ良質の肉(リスクの低い貸付債権等)をごちゃ混ぜにして売っている、「ミートホープ」のような債券がまかり通っていて、さらにはこうした債券のリスクを評価した「格付」も、実はいいかげんだったというわけだ。
FX、外国為替証拠金取引は一定の証拠金を預けると、その数倍から200倍、300倍の外貨取引ができることで人気だ。たとえば、8月17日の東京外国為替市場では前日比5円も円高が進んだが、このとき証拠金100万円を預けて、100倍の取引を行ったと仮定し、1ドル116円台でドルを買い、111円で売ったとしたら500万円もの損失を被ったことになる。証拠金の8割(FX業者によって設定は異なる)を損失すれば、自動的に取引を停止して清算するか、証拠金を積み増しが求められるロスカット(損切り)制度があり、今回の急激な円高でその対象となった個人投資家は少なくないようだ。
中には円高予想で得した投資家もいる
ネットでは、
「やっぱり、素人が手を出してはいけません」
「大儲けしたお金でバカンスしてた人。ご愁傷様です」
と、唖然、呆然の投資家は少なくないもよう。一たん「損」を確定して頭を冷やそうといったところだ。
ただ、「もう3年も円安基調だったので、円売りで入っていた人は損したでしょうが、なかにはドル売り、円高予測で取引していた人もいますから。そんな人はかなり儲けたと思いますよ」(証券会社のFX担当者)と明かす。いつでも勝者ははいるもので、FX業者も「投資自体をやめてしまう人は少ない」とみている。
株価はこのところ一進一退だが、ネットには、「やっと、サブプライム・ショックからぬけだせるのかな~」というカキコミも目立ってきた。ただ、東短リサーチの加藤出チーフアナリストは「米国経済の減速は不透明ですね。当面はマーケットを見ながら一喜一憂するのでしょう」と話している。