東大卒キャリアいなくなる? 官僚バッシングに賛否両論

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「国家のための官僚ではなくなった」

   ただでさえ、東大生らの官僚志望は薄らいでいる。人事院が07年6月に東大など10大学の法学部生に実施した就職志望先調査では、法科大学院がトップの35.2%、民間企業が次いで34.6%で、国家公務員は3位の13・6%に留まった。実際、07年度におけるキャリア官僚採用試験の申込者数は、ピークだった10年前の半分の2万人余だ。「好景気で民間企業に学生が流れたことと、公務員のイメージが保守的に思われていることが響いた」と人事院の渡辺室長。

   また、キャリア官僚の自己都合退職者は、06年度までの5年間で292人と、20年前の4倍近くに増えている。さらに、最近、バッシングが激しくなっているだけに、官僚離れに拍車がかかりそうな雲行きだ。

   バッシングに対しては、賛否を含め様々な議論が出ている。

   ブロガーの藤代裕之氏は、政治主導の次官更迭を擁護して、自らのブログ「ガ島通信」の8月13日付日記の中で、「官僚機構が現実として国を動かしているとすれば、政治にはせめて事務次官をクビにする(選ぶ)ぐらいしか出来ない、それすら否定されれば選挙、民主政治の意味がなくなってしまいかねません」と述べている。

   旧通商産業省OBで作家の堺屋太一氏は、毎日新聞のインタビューに、バッシングをきっかけにした制度改革に肯定的な見方を示した。

「太平洋戦争当時の陸海軍と一緒で、組織が死に至る病にとりつかれている。官僚のための官僚で、国家のための官僚ではなくなった。倫理観が退廃しています。公務員制度の改革を『官僚いじめ』という人もいますが、実は逆。国鉄の分割民営化も『国鉄いじめ』といったが、社員もサービスも良くなった」(8月10日付朝刊)。

   一方、評論家の山形浩生氏は、「Voice」07年6月号のコラム「いじめるだけでは官僚は逃げる」で、「多くの人は海外出張から日本に帰ってきて、その各種制度やサービスの優秀さに涙したおぼえがあるだろう。その相当部分は、日本の官僚たちや役人たちが優秀で、それなりの仕事をしてくれているおかげでもある」と指摘。「天下りがなくても後々よい生活が保証され、能力のある人がやる気を発揮してくれるような環境を作らないと(たとえば給料をうんと上げるとか)。つまらん官僚いじめで喜んでると、下手をすれば国が滅びますぞ」と警告している。

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