東大卒キャリアいなくなる? 官僚バッシングに賛否両論

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   東大では役所への就職人気が急低下している。不祥事が起きるたびに、国民からは犯罪者を相手にするかのようなバッシングが巻き起こる。それに加え、最近は、下働きで尽くしてきた政治家からも見放され…。日本株式会社を支えてきた官僚制に、大きな地殻変動が起きている。安月給や徹夜をものともせずに働くエリート官僚像は今は昔、になるのか。

天下り抑制策に官僚イジメが追い撃ち

官庁の中の官庁と呼ばれる財務省でさえ、学生の確保に苦戦しているという
官庁の中の官庁と呼ばれる財務省でさえ、学生の確保に苦戦しているという

   田中真紀子外相が外務事務次官を相手に演じた政官のバトルを、今度は小池百合子防衛相が防衛事務次官を相手に再現してみせた。防衛情報漏えいなどの不祥事を生んできた防衛省の体質を変えようと、しがらみのない警察庁出身の 西川徹矢官房長(60)を次官に据えようとしたのが発端だった。一国の大臣が携帯電話への対応まで暴露して、公然と官僚トップとやり合ったのは前代未聞のことだ。

   こうした騒ぎに、毎日新聞編集委員の牧太郎氏は、2007年8月21日付夕刊のコラム「大きな声では言えないが…」で、次のように打ち明けた。「防衛省をはじめとする、最近の省庁人事トラブルには官僚イジメのにおいがプンプンする」と。

   イジメと同質ではないが、最近、官僚に対する政治家の目は厳しい。安倍内閣では、長年放置してきた天下り抑制策に取り組み、07年6月に、抑制策などを盛り込んだ公務員制度改革関連法案を成立させている。この法案は、慣例に反して、事務次官会議に掛けずに閣議決定された。これは、激しくなった国民の官僚バッシングに後押しされたものだ。

   バッシングの嵐は、大学生の就職人気を低下させ、官僚のやる気をそいで民間転出を促すのだろうか?

   人事院広報情報室の渡辺直一室長は、就職人気低下に関して、J-CASTニュースの取材に対し、「どの程度か分からないが、(バッシングは)関係あると思う」と話す。天下り抑制策の影響については、「アンケートを見ると、学生は社会的貢献ややりがいを重視しており、最初から天下りを意識していない」と否定的な見方をした。だが、前出の牧氏は、次のように官僚の気持ちを代弁した。

「競争に勝つためにがむしゃらに働く。定時に帰宅することは許されない。翌日の国会質問の内容が分かるまで全員待機。家庭が犠牲になる。政治家に頼まれ質問を作ることもある。ガラの悪い政治家は『便宜を図れ!』と無理難題。ストレスがたまる坂道だ。
でも次官在職期間はせいぜい2年。後は外郭団体、独立行政法人に天下り。待遇は破格だ。恵まれた生活が保証される。だから我慢したんだ!が本音だろう」
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