ネット上での個人情報流出が相次ぐなか、今度は企業秘密が流出した。これまでの情報流出のパターンとしてはウイルス感染やUSBメモリーの紛失などが多かったが、今度はグーグル・カレンダーからの漏洩だ。デザイン会社の社員のスケジュールが誰でも見られるようになってしまい、ここから携帯電話の開発計画の一部が判明してしまったのだ。
「超セレブ向けケータイ」の開発が進行?
「グーグル・カレンダー」から情報が流出した(写真はイメージ)
東京に本社があるデザイン会社は、07年5月上旬にグーグルが提供するスケジュール管理システム「グーグル・カレンダー」を利用して、スケジュールの管理を始めた。この会社の役員が部下にカレンダーの設定をさせたところ、その部下は、誤ってスケジュールの内容が誰でも見られる状態に設定。役員もそれに気づかないまま、業務内容が漏洩する結果になった。J-CASTニュースのスタッフがこれを指摘し、内容はすでに削除されている。
漏洩したスケジュールからは、携帯電話業界の端末開発の厳しさの一端がうかがえる。例えば、8月初めには「08夏メーカー提案」、下旬には「08夏モデルメーカーデザインコンセプトディスカッション」とあり、発売の1年以上前からデザインの検討が行われていることがわかる。
他にも、連日のように「カラー検討MTG(ミーティング)」「デザイン検討」「カラーモック(モックアップ、外見が実物そっくりの模型)確認」といった予定がぎっしりで、スケジュールが過密であることがわかる。
さらに問題なのは、これからどのような機種のリリースが予定されているかが分かってしまうことだ。
また、新タイプの携帯が企画されていることもうかがえる。
きわめて限られた層の富裕層しか入会できない、閉ざされた組織に関連した言葉が登場しており、高級ブランドの名称をつけた「超セレブ向けケータイ」の開発が進行している可能性がある。
紙のように薄い画面のノウハウを生かしたケータイ誕生?
「ペーパーディスプレイ」という単語もある。紙のように薄い画面「電子ペーパーディスプレイ」のノウハウを生かしたケータイ端末の開発が計画されているものと見られる。
携帯電話の開発内容は極秘だというのが業界では一般的だ。今回漏洩したスケジュール表が本当だとすれば、業界に激震が走りそうだ。
もっとも、各社に開発計画を確認してみたところ、
「仮にあったとしても守秘義務の関係でお答えできませんが、今のところ、そのような(ケータイ開発の)予定はありません」
「近々の商品計画では、そのようなもの(ペーパーディスプレイケータイ)はありません」
と一応否定している。
情報を漏洩してしまったデザイン会社の社長によると、今後は機密管理専任のスタッフを配置したり、対策マニュアルを整備したりするなどの対策を講じるという。社長は、
「この度は、多くの方々にご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」
と話している。