甲子園決勝のあの1球 「なんでボール?」で大激論

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   07年夏の高校野球甲子園大会決勝(2007年8月22日)で、佐賀北高校に敗れた広陵高校の中井哲之監督が、試合終了後「審判の判定がひどすぎる」と怒りを記者団にぶつけたことが物議を呼んでいる。明らかなストライクをボールと判定され押し出し。ピッチャーが動揺し次のバッターに逆転満塁ホームランを打たれた、というものだ。ネットでも話題になっていて、ホントのところ、ストライクだったのかボールだったのか。

普段は何も言わない子供たちが「先生、たまりません」

各紙は広陵・中井監督が猛抗議する様子を伝えている
各紙は広陵・中井監督が猛抗議する様子を伝えている

   中井監督が「ひどすぎる」と問題にしたのは、8回裏の一死満塁。カウント1-3から広陵の野村裕輔投手が投げた5球目。ボールと判定された。中井監督は絶対にストライクだったとし、怒りに震えながら記者団に、

「あんな判定をされるとどう対処していいのかわらない。どこに投げたらストライクなんですかね。あの押し出しで野村は腕が振れず真ん中に投げるしかなかった。普段は何も言わない子供たちが『先生、たまりません』と。負けた気がしない」

などと話した、という。審判に対する批判を記者団にするのは異例中の異例。だからこんな言葉が出た。

「言っちゃいけないことは分かっている。でも、言わないと変わらないでしょ!?。高野連は考えてほしい。辞めろと言われれば辞める」

   一方、桂等球審は中居監督の発言を受け、07年8月23日付の「日刊スポーツ」に、

「低いと思った。ミットが下から上に動いていた。ボール、ストライクは私の責任。(判定にも)バラつきはなかった。あれは低かった」

とコメントしている。

   では実際どうだったのか。VTRで確認すると、ストライクのようにも見える。テレビ朝日系報道番組「やじうまプラス」ではこの話題を取り上げ、経済評論家の伊藤洋一さんが、

「僕はストライクだと思った。投手が笑っていたのは『え――?』という事。何か一言(ジャッジに対して)言えてもいい状況だったのではないか」

と話した。実は、あの試合でバッターボックスに立っていた佐賀北の井出和馬選手も07年8月23日付けの「サンケイスポーツ」に、

「8回の押し出しはストライクと思った」

とコメントしているのだ。

   インターネットの掲示板やブログを検索すると、やはり「ストライク」と見ている人が圧倒的に多い。だからなのか、「なぜボールにした?」という疑問から、「過去の試合も佐賀北にひいきしていた」「9回の広陵の攻撃で、サードへのヘッドスライディングも(アウトになったが)セーフだろ!」といった様々な憶測も生まれている。

佐賀北高校の後押しをする異様な雰囲気に審判がのまれた?

   あるブロガーは、

「球場全体が佐賀北高校の後押しをしているように感じ(中略)異様な雰囲気で審判のジャッジが流されたとも感じる事は出きます」

と書いている。

   佐賀北高校は公立の進学校で甲子園出場の他校に比べ体が華奢な選手が多い。専用の野球場を持っておらず、サッカー部と共有。ナイター設備もないところでコツコツと頑張ってきた、という背景を持っている。しかも野球選手全員が地元出身で、この春に高校野球界が揺れに揺れた「特待生」問題には無縁だった。

   そんな思わず応援したくなる要素が満載で、高野連にとっても「特待生」とは無縁の高校が勝ち進むのは最高のシナリオ。07年8月24日付けの「夕刊フジ」は、甲子園スタンドの雰囲気が佐賀北に傾き、先のストライクかボールかでもめた8回には地鳴りのような歓声が沸きあがったとし、中井監督のこんなコメントを掲載している。

「審判が会場の雰囲気にのまれたのかもしれない。でも躍らされてはいけない」

   つまり、佐賀北人気に影響され、冷静なジャッジがしにくくなっていたかもしれないというわけだ。

   そこのところはどうなのかとJ-CASTニュースが高野連に取材すると、

「審判の判断は絶対です。(審判に抗議をしていけないことは)高校野球に限った話ではない」

ということだった。

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