横綱朝青龍の「仮病騒動」が新たな局面を迎えている。NHKが「日本相撲協会が、朝青龍の帰国を認める方針」と報じたことで、様々な憶測が広がっているからだ。スポーツ紙や夕刊紙には、「廃業危機」「引退シナリオ」などと現役続行には悲観的な見方をするところが出てきた。
これまで朝青龍は、複数の医師によって「抑うつ状態」「急性ストレス状態」などと診断され、モンゴルに帰国させるか、あくまで国内で治療させるか、相撲協会の判断に注目が集まってきた。
協会側は条件付きで帰国を認める方針?
各紙がさまざまな憶測を展開している
そんな中、大相撲の本場所の放映権を持っているNHKが8月20日午前5時過ぎ、ニュース番組「おはよう日本」で、「その後の医師の診察でも朝青龍の症状に改善がみられない」などとして、「(協会は)朝青龍がモンゴルに帰国して療養を行うことを認める方針」という特ダネを報じた。
同日、国技館で協会医務委員長の吉田博之・相撲診療所長が会見を開き、朝青龍の病名は意識や記憶などが途切れたり失われたりする「解離性障害」であると新たに発表。「本人は現在混迷状態にある」などと病状を説明した。さらに、
「入院は本人が希望しないだろう。本人が望むとおりにモンゴルに帰国するのが望ましい」
と、朝青龍の意向に沿うと思われる所見を示した。
師匠の高砂親方は「日本での入院、治療が先」と、帰国に否定的な見解を示す一方で、北の湖理事長は「医師の意見を聞き、かつ、医師の指示に従って適切に対応したい」と、事実上帰国を容認する発言をしており、事態は混迷を深めている。
そんな中、各紙が様々な憶測を繰り広げているのだ。
「日刊スポーツ」は、翌8月21日、「朝青龍に『ラストチャンス』が与えられる」として、協会側は条件付きで帰国を認める方針を固めた、と報じた。その条件とは(1)場所中は日本に滞在する(2)帰国中に治療、療養と思えない行為が明らかになった場合は、即刻(協会を)解雇する、というもので、念書も取る方針だと報じている。
「医師の進言に沿って角界を引退-格闘技入り」
踏み込んだ説を採るのが、夕刊フジで、1面トップの見出しは「朝青龍 引退シナリオ」。同紙では、「在日本モンゴル大使館に太いパイプを持つモンゴル人有力者」の
「彼(朝青龍)は絶対に病気ではありません。本人と直接電話で話しましたが、完全に正気です」
との声を紹介、「再び仮病説」を唱えて見せた。さらに、この「有力者」によると、朝青龍は8月22日にもモンゴルに帰国してしまうのだといい、
「朝青龍が協会の制止を振り切り、医師の進言に沿って角界を引退-格闘技入りというシナリオが一番『収まり』がよいのです」
と、半ば「引退は既定路線」とも取れる見方を披露した。さらに同紙では、精神科医のコメントを紹介、「引退は確実」と示唆している。
「体を動かしていないと筋力を維持できない上に、食べていないので筋肉がボロボロになって動かなくなる。そういうプロ野球選手を見てきた。朝青龍はこれで、一巻の終わりです」
なお、ヤフーが8月21日から27日まで行っているネットアンケートで「朝青龍は帰国するほうがいい?」と聞いたところ、「条件をつけてモンゴル帰国」と答えたのが33%(6,147票)で、「無条件でモンゴル帰国」と答えたのが16%(2,914票)。それに対して「日本で入院、または通院治療」と答えたのは40%(4,765票)で、全体としては「帰国派」が優勢のようだ。 もっとも、このアンケート結果からは、「帰国した後どうすべきか」ところまでは読み取れない。