大学の卒論やレポートの執筆を有料で引き受ける代行業者の存在が明らかになり、そんな業者を可能にしてきた大学のあり方が問われる事態になっている。ある業者はサイト上で「大学が教育に値する指導を行なっていない」などと弁解、ネット上でも、議論が広がっている。
「卒論代行」と打ち込むと次々と業者が出現
読売新聞は2007年8月18日付の夕刊で「卒論代行業者現る」というタイトルの記事を掲載した。
そこで、J-CASTニュースが、ヤフーの検索で「卒論代行」と打ち込むと、次々に代行業者とみられるホームページが出てきた。あるサイトでは、「大学生の皆さんの卒論やレポートの代筆を承っております」として、卒論やレポートの「指導」や「サポート」でなく、「代行」であることを明確にうたっている。それによると、卒論が500字2500円以上、レポートが500字2000円以上で、代筆期間はそれぞれ1週間から、3日から可能としている。そして、「社員は学生時代に必要最低限の勉強量で優やAを取ってきた精鋭ぞろいです」とアピールしている。
読売新聞の取材を受けたとサイトで明らかにしている業者は、サイト上で「レポートまたは卒論/修論の雛形を、迅速、正確に作成致します」と打ち出している。「雛形」とはいえ、「作成した卒論の雛形はそのままお使いいただける程度のものに仕上がっております」としており、事実上の代行と言える。料金の例として、論文が2ヶ月で20万3千円から1週間で60万円まで、レポートが2週間1万300円から3日間3万円まで。スタッフは、有名大学の大学院生としている。
このほか、読売の記事が出てから、慌てて削除したとみられる業者のサイトもいくつかあった。
文部科学省大学振興課では、卒論・レポートの代行について、J-CASTニュースの取材に対し、「代行というのは、許されるものでない」とコメント。一方、検索サービス大手のグーグルでは、07年5月から代行業者とみられる広告を禁止する措置にした。同社は、J-CASTニュースに対し、「卒論のコンサルティング、サポートでなく代行の場合、それで単位を取れるのはフェアでないと考えました」と説明する。また、検索大手のヤフーでも、「丸投げされた卒論を書くビジネスには問題があると考えており、業者の広告が見つり次第断り、今後もお受けしない方向」と話している。