個人株主、なかでも女性の株主を増やしていきたい。そんな思惑もあって、「化粧品」や「エステ」、「下着」などの女性向けの株主優待サービスが広がっている。この制度を使いたくて株主になった人も多く、人気急上昇に企業側もいろいろ知恵をしぼっている。
肌着のグンゼは2007年8月3日、株主がカタログから商品を選んで、割引購入できる株主優待制度を新設した。毎年9月30日、3月31日現在で1000株以上を保有している株主を対象に、株主専用カタログ「ぐんぐん快適通信」にある商品から、1000株以上3000株未満は1点、3000株以上は2点を贈呈する。また、カタログ商品を20%引きで購入できる株主優待割引申込書も送る。
グンゼといえば、男性肌着のイメージが強いが、「ストッキングなどでは評価いただいていますし、女性に限らず、広く個人株主を増やしていきたいと考えている」(広報IR室)という。
ノエビアの場合、株式保有の53%が株主優待制度がきっかけ
「ヤフオク」に出品されている株主優待券も多い
ジャスダックに上場する化粧品のノエビアは、1000株以上を保有する株主に年間42000円相当の自社製品を、最新のカタログに掲載された500点以上の中から選んでもらい贈呈している。100株以上1000株未満でも年間4200円相当の指定製品をプレゼントする。1000株以上の株主については「連絡をいただけない場合でもきちんと商品をお送りしています」としている。
同社の広報IR部は「最近は雑誌などに取り上げられるケースもあって、問い合わせも多いです。株主優待がきっかけで株主になっていただいた方も少なくないと思います」と話す。同社の調べ(1000株以上を保有する株主が対象)では、株主優待制度を理由に株主になった人は全体の53%を占めるという。
また、ヘラクレスに上場するエステ業界の大手のラ・パルレは、1株(11万6000円、2007年8月7日現在)以上でエステティックサービス2万円券を1枚、2期連続で保有した株主には2万円のエステ券を2枚贈呈。入会無料券(2万円相当)もプレゼントする。優待利用の多くは、もちろん女性だ。
同社は、「中間期もカウントしますから、1株でも1年間保有してもらえれば、4枚贈呈することになります。当社としては、一度でも利用いただき、そのよさを知っていただくことが第一です」と、狙いを話す。
株主優待ブログにも、ラ・パルレへのカキコミは多く、「口コミで広がっているようです」(同社)という。優待還元率(優待金額2万円÷1株あたりの投資額11万6000円)は17.24%にもなる。
「美しくありたい」という女性の願望をくすぐる株主優待サービスは、化粧品、ファッション、通信販売などもあの手この手と知恵をしぼって用意しており、人気はまだまだ続きそうだ。