「とんかつ専用」「バターご飯専用」まで登場
カレー専用の醤油を紹介する加賀屋醤油のHP
「国民食」とも言われるカレーライスを食べる前にかけるカレー専用醤油を発売したのは、「ジャパン・フード&リカー・アライアンス(JFLA)」(香川県)の子会社「加賀屋醤油」(徳島県)だ。JFLA広報・IR部によると、07年3月から全国の量販店などで販売を始めた。本醸造醤油にカツオ節エキスを加えた「カレーがおいしい醤油 まろやか」と、カレースパイスを加えた「同 スパイシー」がある。
幼い子供用に作ったカレーを大人向けに少し味を変えたい、などの声や、「個食」化の影響で「自分の好みの味」にこだわる人が増えたことなどを背景に企画した。
JFLA広報によると、開発担当者は、カレーの味を生かすため醤油の塩分を抑えながらもカレーに負けないという「微妙な線」を探るため、数ヶ月間「醤油かけカレー」を連日試食していたという。味の方は「いつものカレーに新しいスパイスが加わった?と思える程、味が広がり豊かになります」。反響の方は「カレーを食べたくなる人が多くなる、これからの季節に期待しています」で、認知度は、まだ高くはないようだ。カレー専用醤油はいずれも、実勢価格1本(150ミリリットル)298円。
JFLAグループでは、9月からは「おもちがおいしい醤油」も発売予定だ。焼いた餅専用をうたい、ざらめ糖や本みりんを加えた甘みのある味という。
ほかにもネットで調べると、「とんかつ専用」「キャベツ専用」「バターご飯専用」といろいろ専用醤油が出てくる。「焼き魚」や「冷奴」「肉じゃが」の専用醤油もある。
専用醤油の登場が目立ち始めたのはいつごろからなのか。日本醤油協会(東京・中央区)の八尋猛さん(36)によると、「2、3年前からでしょうか」。専用醤油については「多くは、醤油を利用した醤油加工品や専用調味料の分類になるようです」と普通の醤油との違いを説明した。
八尋さんによると、醤油の日本人1人あたりの年間消費量は、ここ数年は2.5リットル前後で横ばいだ。1998年に3リットル台を割り込んで以降、微減と横ばいを繰り返している。専用醤油の今後については、「どこまで定着するか分からないが、特に若い世代に醤油消費量を増やしてもらうために各メーカーが知恵を絞っている結果だ。種類も増えていく傾向になるのではないか」と予想した。全国には、大手5社を含め、1,500社の醤油メーカーがあるという。