電子化後の名義変更は複雑な手続き必要
証券保管振替機構に預けて電子化の手続きをしないタンス株は、電子化後に株式を発行する上場会社が「特別口座」を開設して管理することになるが、自由な売買には制限がつく。
特に問題になるのは名義変更をしていない株券だ。他人名義になっている場合、名義株主が勝手に売却する恐れもあり、株主の権利を失う可能性もある。また、電子化後に本人名義に変更するには、譲渡証明など複雑な手続きが必要になり、負担も大きい。
同機構の処理能力にも限界があり、電子化直前に「タンス株」の預託申請が集中した場合は処理できなくなる懸念も指摘される。電子化開始前後の混乱を避けるため、同機構や証券会社、株式の発行会社である上場企業などは「さらに呼びかけを強めたい」としており、今年度中に計1億部のパンフレットを株主に配る計画だ。
しかし、相続などで株券を受け取っただけで、株売買などには関心がない人にまで周知できるかは不透明だ。根本的な解決策は見いだせないのが現実で、混乱の火種はくすぶり続ける。