楽天が事業の一部を東品川の「楽天タワー」に移転させる。かつては、ライブドア前社長堀江貴文氏をはじめとした「IT寵児」が集い、一時代の象徴だった「六本木ヒルズ」。しかし、ライブドアやヤフーはすでに「脱出」、その姿は変わりつつある。
本社機能も含めて「楽天タワー」への移転を検討
楽天などの一部移転で新しい時代を迎えることになった「六本木ヒルズ」
楽天が2007年8月16日から品川区東品川の23階建てビル「楽天タワー」に一部の事業を移転することが明らかになった。同社の三木谷浩史社長は07年8月の中間決算発表の際に、オフィス機能を「六本木ヒルズ」と「楽天タワー」に集約するという考えを示しており、本社機能の移転も含めて「楽天タワー」への移転を検討している。
同社広報は、J-CASTニュースに対し、
「(07年7月)16日から徐々に移転するのは確かだが、10月以降に移転に関する発表があるので答えられない。また、10月の発表でも本社機能を移す(と発表する)とは限らない」
としており、本社機能までを「楽天タワー」に移転させるかについては明確にしていない。
しかし、「楽天タワー」オープンに向けて動きが加速しているのは確かで、人材募集サイトでは「楽天タワー」の受付業務や事務業務の人材募集を多数行っているほか、最寄り駅の東京臨海高速鉄道りんかい線「品川シーサイド」駅には「楽天タワー」という表記が07年8月1日から追加された。
東京臨海高速鉄道によれば、社内アナウンスでも「品川シーサイド楽天タワー前」と放送されるほか、ホームにも楽天のステッカーが貼られている。これらは「あくまで広告」であり「ネーミングライツ(命名権)といったことではない」ということだが、楽天が「楽天タワー」にかける思いが伺える。
「六本木ヒルズ」はそれでも「満杯」
「六本木ヒルズ」をめぐっては、ヤフーが3月30日に開業した六本木のもうひとつのシンボルである「東京ミッドタウン」に主要事業を移転しているほか、ライブドアも「赤坂ツインタワー」や新宿に本社を移転して「脱ヒルズ」をはかった。IT企業大手企業が次々と拠点を「ヒルズ」から他の場所に移すことで、「六本木ヒルズ」もかつての象徴的な存在とは違う姿になってきたといえそうだ。
いわゆる「ライブドア・村上ファンド事件」といわれる「ヒルズ族」の証券取引法違反にかかわる事件の影響で「ヒルズ離れ」が進んでいるという報道も06年末に一部のメディアであったが、森ビル広報は当時、「オフィスは現在ほぼ100%稼動し、さらに増床の要望も強い。『ヒルズ離れ』は始まってもいない」と答えていた。
もう一度、J-CASTニュースが「ヒルズ離れ」について質問してみると、
「(オフィスの稼動は)ほぼ100%。あのときと状況が変わっているとは思わない」
と述べており、「IT寵児」たちの顔ぶれがなくなっても、未だに「人気」はあるようだ。