NTTドコモが「反撃する」と銘打った1大キャンペーン「DoCoMo2.0(ドコモ2.0)」を展開してから2ヶ月ほど経ったが、「反撃」するどころかKDDIに負けっぱなしの「不振」状態が続いている。しかも、ドコモの業績不振がNTTグループ全体の営業利益を押し下げる「おまけ」つきだ。ドコモよ、一体どうしたのだ。
ドコモがNTTグループの足を引っぱる
07年4~6月決算を見る限りドコモの「反撃」まだだ
NTTが2007年8月2日に発表した07年4~6月期連結決算は、売上高が前年同期比1.5%減の2兆5,852億円、本業のもうけを示す営業利益が同16.7%減の2,992億円と減収減益となった。なかでもNTTドコモの07年4~6月期決算は、営業利益は前年同期比25.2%減の2,039億円。NTTドコモの苦戦がNTTグループ全体の決算にも大きく響き、07年8月2日の共同通信によれば、三浦惺NTT社長が記者会見で「ドコモがきちんとした成長戦略に戻ることがグループにとって一番大きい。持ち株会社として支援していく」と述べるなど、いわばドコモがNTTグループの足を引っぱる形が鮮明になった。
NTTドコモ広報は、ドコモの不振が与えるグループ全体への影響について「NTTの持ち株がそれについて回答する立場。ドコモとしては営業利益の目標計画を達成するのが第一」としているが、ドコモの業績自体も同業のKDDI(au)に「負けっぱなし」の状況だ。
07年4~6月期決算で、NTTドコモの営業利益が前年同期比25.2%減の2,039億円であるのに対して、KDDI(au、ツーカー)の営業利益は22.4%増の1,513億円と、ドコモの「大敗」が歴然としている。
しかし、意外なことにドコモはなぜか強気だ。
ドコモの中村維夫社長は、7月27日の決算発表と同時に「(減収減益は)前年同期に『2ヶ月くりこし』の失効見込み額を収益計上する会計処理に変更した影響や、端末販売数が増えたことに伴う営業費用の増加によるもの」とのコメントを発表した。同社によれば会計上の処理の仕方が06年度方法から変更されたためで、あくまで「テクニカルな部分」による「減収減益」ということらしい。
KDDIとの差は歴然なのに、なぜか強気コメント
さらに、ドコモは07年7月27日に、KDDIが発表した基本料金を一律50%割引する新料金プランに対抗して、同様の新料金プランを発表。ドコモは既に新料金プランを07年6月に発表していたが、KDDIがドコモより割引率が大きいプランを発表したため、それに追随せざるを得なくなった。ドコモが、2度の新料金プラン導入で失う収入は400億円。しかし、ドコモは「当初の計画に織り込み済みで、当初の営業計画を下方修正することは無い」(広報)とここでも強気だ。
とはいっても、ドコモの強気とは裏腹に、「テクニカル」な部分を除いたとしても、KDDIとの差は歴然。07年4~6月期決算での営業利益率はドコモが5%減の17.2%であるのに対して、KDDIは2.1%増の22.4%。新規契約数から解約数を引いた携帯純増数だと、ドコモが22万5,000件であるのに対して、KDDIは52万件だ。J-CASTニュースに対して、NTTドコモ広報は「MNP(番号持ち運び制度)などでKDDIに勢いがあるのは確か」となかば「劣勢」を認めている。ただ、
「長い目で料金プラン、新しいサービス、商品をきっちりアピールして、新規顧客の獲得と既存ユーザーの囲い込みをしていく」
とし、「反撃」はこれから、という立場は変えていない。