自民党が歴史的大敗を喫した第21回参院選から1夜明け、新聞各紙の選挙に対する評価が出そろった。安倍首相は続投を表明しているが、各紙の社説は「安倍辞めろ」派と、「解散総選挙」派、「続投支持」派とに分かれている。
東京、毎日新聞は「総選挙で信を問え」
与党の惨敗を報じる朝刊各紙
64あった自民党の改選議席は37議席にまで激減。宇野宗佑首相が退任に追い込まれた89年の36議席に次ぐ、歴史的大敗となった。にもかかわらず、安倍首相は「私の国造りは、まだスタートしたばかり。国民との約束、責任を果たしていくことが私に課せられた使命」などと述べ、続投を表明。連立相手の公明党も、これを容認する方向だ。
そんな状況に対して、一夜明けた2007年7月30日の朝刊の論調は、「安倍首相は退任すべき」との論を前面に押し出す社と、そうでない社とで分かれた。
例えば朝日新聞。1面には「辞任に値する審判」と題したコラムを掲載し、社説では「民意に背く続投表明」という中見出しを立て、今後の政局運営の困難さを指摘。「首相は1日も早く自らの進退にけじめをつける必要がある」と結び、暗に辞任を求めている。
西日本新聞はもっと「直球」で、社説に「民意は安倍政権を見限った」との見出し。本文中には「敗北の責任は、やはりトップが引き受けねばならない。それが筋である。安倍首相は地位に恋々とすることなく、自ら身を引くべきだろう」と、直接的な表現で辞任を求めている。
「衆院の解散・総選挙で信を問え」と訴える新聞も少なくない。
東京新聞は「『私の内閣』存立難しく」との社説を掲げ、「首相にも要望する。あなたはいまだ総選挙の洗礼を受けていない。ぜひ、速やかな政権選択選挙を、と」と書いているほか、北海道新聞も「政権をかけて戦うのはあくまで衆院選だと言うのなら、国民は総選挙を求めるしかない。首相は早期に衆院を解散し、国民の信を問うのが筋だ」と、同趣旨の主張を展開している。毎日新聞でも、社説の見出しに「衆院の早期解散で信を問え」とある。
産経は「民主党の責任は大きい」という大見出し
その一方で、「続投支持」に回ったのが、日経・読売・産経だ。
日経新聞の社説では「有権者の厳しい審判を厳粛に受け止め、謙虚な政権運営を心がける必要がある」とする一方で、参院で第1党に躍り出た民主党に対しては
「国会で何でも反対の方針をとったり、いたずらに政局を混乱させるような行動はとるべきでない。そのような無責任な態度は有権者の失望を招くだけである」
とクギを刺してみせた。
読売新聞の社説も、続投への決意を実現させるためには「選挙の審判を重く受け止め、民主党との協調も模索しつつ、態勢の立て直しを図らねばならない」と、続投を前提に、速やかな態勢の立て直しを求めている。
一方、産経新聞の社説では「民主党の責任は大きい」という大見出しを立て、与党敗因の分析よりも、民主党に対する、これからの議会運営について注文を付ける内容の方が目立った。
もっとも、夕刊紙・スポーツ紙には、そろって悲観的な見出しが並んでいる。日刊スポーツの1面には、ズバリ「安倍辞めろ!!」という大きな文字が躍っているし、夕刊フジは「『死に体』改造」と切り捨てている。
安倍首相にとって、当分は「進むも地獄、退くも地獄」という状況が続きそうだ。