「普通に考えるとおかしい結果ですね」
ある通常タイプの炭酸飲料のカロリーを見ると、100ミリリットル当たり45キロカロリーだった。500ミリリットル入りペットボトル1本を飲むと225キロカロリーだ。「カロリーゼロ」なら単純計算で最大1本25キロカロリー未満で、普通タイプの約10分の1以下だ。とても少ないと見るのか、「ゼロではない」という点を気にするべきなのか。
「図解でよくわかるメタボリックシンドローム」(保健同人社)の著書もある、東京慈恵会医大付属病院の新橋検診センターの和田高士所長に聞いてみた。ブルームバーグの記事に掲載された研究については、
「聞いたことがないし、日本で同様の結果が出たような研究も知らない」
と話した。一般的にはあり得る話でしょうか、と質問すると
「普通に考えるとおかしい結果ですね」
と話した。カロリーがゼロかゼロに近ければ、それ自体が肥満などメタボリックシンドロームに直接影響することはない、というのだ。
関係が出てくるとすれば、ある飲料を飲む人は、食事を多く取る傾向があるとか、運動をしない傾向にあるとか、いずれにせよ、間接的な関連はあり得ても直接的な影響は「まず考えられない」という。
ほかに考える必要があるのは、飲料に含まれている成分が、カロリーとは無関係に、食欲を増す作用があったり、脂肪分解を妨げる作用があったりした場合だ。しかし、少なくとも記事上ではそうした研究結果は触れておらず、
「少なくとも記事の範囲では、おかしい結果だ。どういう実験をしたのかも詳細が分からない」
と懐疑的だ。
また、全国清涼飲料工業会(東京)に、J-CASTニュースが取材すると
「(日本語訳版の)記事を読んだだけでは何ともコメントしようがない」
と担当者が話した。
もっとも、ネット上のQ&Aサイトでは、「カロリーゼロ飲料って何」「いくら飲んでも肥満を気にしなくてもいいの?」など素朴な疑問が多数寄せられている。回答者によって肯定的なもの、否定的なもの、と答えは様々だ。J-CASTニュースが取材した、厚生労働省食品安全部のある職員からは
「最近、妙にゼロカロリー飲料に関する質問が多いんですよね。そんなに流行ってるんですか」
と逆に質問された。関心が高まっていることは間違いなさそうだ。