スターを作るため「日本選手が勝てる相手しか選ばない」
それでは、どうしてタイ選手は負け続けるのか。ボクシング、キックボクシングの「山木ジム」会長で、日本女子ボクシング協会(JWBC)会長の山木敏弘会長はJ-CASTニュースの取材に対し、
「タイ人選手はむしろ強く、タイの選手の出場を制限するなど(JBC)は責任転換も甚だしい」
と憤る。今回の問題はプロモーターやマッチメイクする側の問題であり、タイ人選手への誤解を生むことになりかねない、というのだ。
プロモーター側の問題とは「日本選手が勝てる相手しか選ばない」ということだそうだ。スター選手を作るために10戦10勝5KO勝ちなどのレコードを作ろうとするわけだ。勝ちが重なればランキングも上がり世界戦も視野に入ってくる。また、高額なカネを払って外人選手を招き、日本選手が負ければプロモーターの責任が問われるから、及び腰になってしまうのだという。そんな中で、注目されるようになったのがタイなのだという。ボクシング大国だから、強い選手から弱い選手までの幅が広い。
さらに、
「カネさえもらえれば何でもいいや、と、負けることが分かっているのに来日する選手や、そんな選手を取り仕切る組織もある。来日する選手の中には、ボクシングから遠ざかり体育館の売店でモノを売っていたり、バイクの運転手をしている人もいる。ただし、プロボクシングの戦績があるからボクサー。練習していないため来日したときはハラがブヨブヨなどという例もある」
そしてこうも話す。
「私たちは海外から選手を要請された場合、同じ選手レベルか、ひょっとしたら負けるかもしれないというギリギリの選手を出す。それがプロとしてのプライドであり、そういう試合でなければ、ファンに支持していただけないのは当然のことなんです」