イタリアのサッカー1部リーグ・セリエAのカターニャが来日ツアーをキャンセルすることが明らかになった。理由は地震による「放射能漏れ」。ただ、放射能漏れはごく微量で人体に影響はない。しかも、選手は新潟で試合を行う予定も無い。なぜそれがキャンセルの理由になるのか?背景にはヨーロッパでのトンデモ「誤報」がありそうなのだ。
「原発事故避難民が発生」とイタリア国内で連日報道
「放射能漏れ危険だから」カターニャの来日中止仕方ない?(SKY)
Jリーグ・横浜FC、磐田、千葉の3クラブは2007年7月24日、「カターニャジャパンツアー」を中止すると発表した。カターニャは07年7月26日に来日し、7月30日から8月5日にかけて、Jリーグ3クラブと計3試合を行う予定だった。カターニャには日本人FW・森本貴幸選手が所属しており、日本人のサッカーファンにとっては注目の試合となるはずだった。
ツアー運営会社の発表によれば、07年7月16日に新潟中越沖で発生した地震と柏崎刈羽原子力発電所から放射能が漏れた疑いがあるというニュースや、「放射能漏れによる避難民の発生」という「誤報」がイタリア国内で連日報道され、これを深刻に受け止めたカターニャ側から「ジャパンツアー」を延期したいとの要請があったという。運営会社は、在日イタリア大使館とともに安全性に問題が無いことを理解してもらうために説得を続けたが、「クラブ内の各レベルからの反発が強い」として、ツアーを中止せざるを得なかった。
日本にいる側としては、柏崎原子力発電所からの放射能漏れはごく微量で、しかもその影響があるとは到底考えられない場所で試合を行うツアーをカターニャ側がキャンセルしたのは、到底理解できるものではない。しかし、連日、イタリアはじめヨーロッパで報じられた「放射能漏れ」のニュースは、どうやら日本人が理解している「現実」とは相当かけ離れたもののようなのだ。
実際、イタリアではカターニャのツアー中止についてこんな報道がなされている。
「先日日本で発生した地震を受けて、カターニャの責任者は、放射能の警報が日本に広まる可能性のあることを懸念し、26日からの親善試合をキャンセルすることを検討している」(7月19日Datasport)
「カターニャチームは明日トーナメント試合のため日本に向けて出発する予定だったが、突然すべての予定を取り消さざるを得なくなった。先日柏崎市に打撃を与えた地震の影響で、原子力発電所の損害とそれによる放射能漏れの危険がある事が考えられるためだ。まだ公式にキャンセルの報告を出していないカターニャの責任者にとっては危険が大きすぎる」(7月25日Sky)