「合成麻薬」実は抗うつ薬 誤認逮捕招いた「真相」

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   無灯火で警官に職務質問を受けた男性が「合成麻薬を持っている」として逮捕された。ところが、鑑定してみると、麻薬だとされたのは抗うつ剤だった。麻薬と抗うつ剤、警官が誤認するほど似ているものなのだろうか。

試薬2つの結果をあわせて鑑定する仕組み

警視庁、抗うつ薬をMDMAと誤認して男性を逮捕
警視庁、抗うつ薬をMDMAと誤認して男性を逮捕

   発端は2007年7月23日午前0時45分ごろ、警視庁築地署の警察官が、中央区銀座の路上で、無灯火で自転車に乗っていた男性(24)を発見したこと。逃走した男性を止めて職務質問をしたところ、自転車が他人の名義だったことが判明。所持品の提示を求めたところ、財布の中からビニール袋入りの黄色い錠剤98錠を発見した。錠剤が合成麻薬「MDMA」の可能性もあるとみて、署に任意同行し、簡易鑑定を実施したところ、試薬がわずかに変色する反応が出たため、2時半すぎに麻薬取締法違反容疑で現行犯逮捕した。

   ところが、同庁科学捜査研究所で正式鑑定したところ「抗うつ剤」という結果が出たため、逮捕から約13時間後の15時半過ぎに男性は釈放された。

   男性は錠剤については「知人から『気持ちが病んだら飲め』と言われてもらった」、自転車については「終電がなくなり盗んだ」などと話していたという。

   簡易鑑定した署員2人がMDMAの簡易判定をするのが初めてだったのが誤認逮捕の原因だというが、MDMAと抗うつ剤って、そんなに似ているものなのか。

   MDMAは、「エクスタシー」の俗称としても知られ、錠剤またはカプセルの形で密売される。セロトニンと呼ばれる神経伝達物質を過剰に分泌させ、一時的に幸福感が高まったりするなどの作用があるという。

   麻薬捜査を専門に行っている、厚生労働省の関東信越厚生局麻薬取締部によると、簡易鑑定の際、一般的に「シモン試薬」「マルキス試薬」と呼ばれる2つの試薬を使用するという。MDMAの場合は、「シモン試薬」では青く、「マルキス試薬」では黒く反応するという。この2つの結果をあわせて鑑定する仕組みだ。

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