大型リゾート施設「シーガイア」を運営するフェニックスリゾート(宮崎市)が、開業以来初めて営業黒字化を達成した。バブル崩壊後の経済状況のなかで第3セクターとしては当時最大規模の負債を抱えて経営破綻に陥った「シーガイア」。もうだめかといわれたのに「大復活劇」。そのきっかけは、新社長が掲げた「プライド」にあった。
米投資会社が再建に取り組む
シーガイアは開業以来初の黒字化を達成した
フェニックスリゾートの2007年3月決算は、営業利益が2億2200万円となり、94年の「シーガイア」オープン以来、初めての営業黒字になったことが07年7月24日までに明らかになった。同社によれば、売上高は前期比2.6%増の142億円で、最終赤字は2億9,900万円。前期の12億2,600万円から赤字幅も大きく圧縮した。
経営破綻に陥った同社を01年9月に買収した米投資会社RHJインターナショナル(旧リップル・ウッド・ホールディングスL・L・C)が再建に取り組んでおり、コスト削減を実施、一方でクオリティを充実させて、集客や客単価を向上させた。
同社は1,200億円以上の巨額赤字を抱え01年に経営破綻。当時の負債総額はグループ会社も合わせて第3セクターでは過去最大規模となる3,261億円にのぼり、宮崎地裁に会社更生法を申請した。宮崎県と宮崎市が出資していたこともあり、このときには当時の宮崎県知事の「責任問題」にまで発展した。
一体、何が「シーガイア」を変えたのか?
同社はJ-CASTニュースの取材に対し、
「MICE(企業等のミーティング、企業報奨・研修旅行、国際会議)などの誘致に成功したことのほかには、温泉施設やホテルの客室の改装やゴルフ場の拡充で集客率や客単価が上がったことが要因」
と分析する。同社は温泉施設を全面的に改装して、女性向けのスパを充実させたほか、客室も全面改装することでクオリティを向上させ、新規顧客と富裕層の顧客開拓に成功した。
韓国中心に外国人客も増えたのも大きく貢献
さらに、これに加えてマーケティング戦略を抜本的に改革。05年8月に就任した丸山康幸社長は「プライド・オブ・シーガイア(シーガイアの誇り)」を掲げて、「ブランドの確立」「セールスマーケティング強化」「適切な人員派遣」など徹底したコスト削減と顧客満足度の分析と向上を図った。さらに、この「プライド・オブ・シーガイア」の一環として、「5S」運動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を導入。社員の意識の向上も図った。
これに加えて、韓国を中心とした外国からの客も増えたことも「黒字転換」に大きく貢献した。同社は、宮崎空港わずか20分という好立地を活かして、アシアナ航空と連携して韓国の顧客を誘致。さらに、02年には「シーガイア」で開催されたゴルフ「ダンロップトーナメント」が韓国でも中継されたこともあり、韓国からのゴルフ客が急増したという。
「シーガイア」の黒字転換の報道のなかには、07年1月に就任した東国原・宮崎県知事による「PR効果」を「要因」と報じるメディアもあったが、意外なことに「東効果」がそれほど大きく寄与したとはいえない。
「まあ、知事が就任したのは(07年)1月で、観光PRを始めたのが3月ぐらいなので、3月期の決算にそんなに大きな効果があったとは考えにくいです。むしろ3月以降に効果が出ていると実感しています。『知事を応援しに来た』『県庁にはどう行ったらいいのか』といった問い合わせもありますから」
「東効果」はこれからに期待、といったところのようだ。