中国の「食の安全」とは 都市部の金持ちだけのこと

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   中国のテレビ局が報じた「段ボール肉まん」問題は、「捏造だった」と同じ局が謝罪し、「一件落着」となった。しかし、問題食品が横行している中国の現状は変わらない。ただ、「食の安全とは都市部の金持ちだけのこと」という皮肉な声も聞こえてくる。貧しい人にとっては、そんなことはかまっていられない、ということだ。

「汚染水養殖ウナギ」「廃油揚げパン」「残飯油」・・・・・・

北京市内では沈静化してきたという「段ボール肉まん」騒動(中央テレビより)
北京市内では沈静化してきたという「段ボール肉まん」騒動(中央テレビより)

   週刊現代(8月4日号)は、「中国は毒食品の満漢全席」と見出しをつけた特集記事を掲載した。「中国ウォッチャー宮崎正弘」さんの記事で、「段ボール肉まん」の北京市当局の対応について「よくも白々しく安全宣言など出せたものだ」と批判している。「北京テレビの知人に聞くと、『あまりに内外の反響が大きかったので政府から圧力がかかり、ヤラセということにして矛を収めた可能性がある』とのことである」とも書いている。ほかにも「問題食品」があるとして、計30項目の一覧表を掲載。「汚染水養殖ウナギ」「廃油揚げパン」「残飯油」などが並んだ。

   ウナギについては、7月13日、大手コンビニチェーンのサークルKサンクスが、中国産ウナギの「うな重」の販売を一時中止した。中国政府が発表した、輸出停止を命じた中国の「ブラックリスト」企業にウナギ扱い業者が含まれていたためだ。サンクスは7月21日、「安全性が公的第三者機関による検査で確認された」として7月26日に店頭販売を再開すると発表した。

   各地のスーパーが「中国産ウナギ離れ」を心配する様子を伝える報道も相次いだ。米国が6月末に中国産ウナギの輸入規制を発表し、ニュースになっていたこともイメージダウンの下地となった。もっとも、厚生労働省食品安全部によると、米国が導入する規制は、発ガン性が指摘される抗菌剤が含まれていないことが証明されない限り輸入しない、というもので、ほぼ同様の措置は日本は05年から取っているという。チェック体制はすでに敷いているという訳だ。

肉まん、気にする人は少なくなった

   厚労省のある関係者によると、「段ボール肉まん」情報については、懐疑的な職員が多かった。以前から中国の地元紙で「偽牛乳」や「偽食用油」などが報じられるが、いずれも結果的に「ガセネタ」扱いだった。また、実在するとしても、露天商がやったことで、日本の輸入に関係するような工場が関与することは「ありえない」と見ていた。

   「段ボール肉まん」を巡っては、中国現地では一時期、北京市が「大パニック」になっていた。J-CASTニュースが7月19日に現地の記者を取材すると、肉まんを食べる人がいなくなる現象まで起きていた、と明かした。「パニック」はまだ続いているのだろうか。北京在住ジャーナリスト陳言さんによると、「肉まんについては、特に気にしなくなった」そうだ。また、発表への懐疑論よりもテレビ局の「捏造だった」ということの方が受け入れられているようだ。

   しかし、陳さんは中国に偽食品が横行していることは間違いない、とも話す。飴で作った「蜂蜜」やただの水道水の「ミネラルウオーター」などだ。中国の経済成長が強調されているが、一方で貧しい人たちも多い。「食の安全は重要だが、それは都市部の金持ちにとってのこと」と指摘し、「食えるか食えないかのぎりぎりの人たちにとっては『食の安全』は高級過ぎる」と話した。それでも食の安全については「いくら報道しても多すぎるということはない」と安全への配慮の高まりを期待している。

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