領収書が出ない芸者の花代 ご祝儀?それとも何なのか

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   2007年5月に自殺した松岡利勝・前農水大臣を巡り論議を呼んでいた事務所費問題について、山本拓農水副大臣が07年7月20日、「芸者の花代は領収書をくれないので、事務所費で払ったと聞いた」と発言した。「花代」とは何なのか、「領収書をくれない」のは本当だろうか、調べてみた。

「20万、30万って花代は領収書くれん」

山本副大臣のホームページでは、7月23日19時現在、「花代発言」に関するコメントは掲載されていない。
山本副大臣のホームページでは、7月23日19時現在、「花代発言」に関するコメントは掲載されていない。

   山本副大臣の発言は、副大臣の地元福井県内の演説会であった。「松岡さんだってね、(事務所費)500万(円)の使い道、たいした話じゃない。(略)『何に使ったの』と言ったら、昔から『赤坂でみんなに大臣になったら飲ませる』と赤坂の芸者に行く際に、20万、30万って花代だけどって(発言のまま)、花代は領収書くれんのですよ。それを事務所費で払っていたという話だった」と語った。

   「花代」は本当に「領収書をくれない」のだろうか。J-CASTニュースの取材に対し、赤坂ではない東京地区のある置屋の女性が「地区や店でかなり違いがあるが、平均的な話としてなら」と解説してくれた。花代は、芸者さんたちが料亭などの座敷に出た際の料金だ。値段は1時間単位で地区ごとに決まっているが、客側・芸者側の人数など状況により様々だ。

   「花代の領収書は出ないのでしょうか」と質問すると「そんな領収書をくれ、という話は聞いたことがない」という。女性によると、領収書は料亭側が、花代と飲食代、席料(テーブルチャージ)などを合計して客に渡すことはある。料亭側が後に芸者さんたちに「花代」分を渡すのだそうだ。合計額の領収書からは、花代分は分からないのだろうか、という質問には、明細書はくれるとのことだった。
   普通は、料亭を通して料金を払うため、これで困る、不都合が生じるという事態は考えられない。

   「お座敷遊び」(光文社)の著書があるフリーライターの浅原須美さんにも話を聞いた。浅原さんによると、客側が芸者さん側に直接「花代」を渡すことは「ない」。やはり飲食費などを含めた合計額を料亭側に後日支払う形になるそうだ。

   「花代」とは別のチップはどうかと聞くと、「ご祝儀」と呼び、小さなご祝儀袋に入れて直接芸者さんに手渡すこともあるそうだ。ご祝儀は、勿論領収書はない。「ご祝儀に領収書くれ、なんて無粋の極みでしょうし」

   結局、花代単体の領収書は出ないことが多いが、花代や飲食代を含む領収書は出るということのようだ。ご祝儀ならば領収書はまずなさそうだ。しかし、「ご祝儀」なら20万、30万円というのは相当多額では、という疑問も浮かぶ。だとすると、「花代」とは芸者に払う何のお金なのか。ひょっとして、なんていろいろ想像してしまう人もいるかもしれないが、浅原さんは「いまどきそんなことはありえません」。

「会場の人を和ませるために冗談を言った」

   もっとも、朝日新聞朝刊(7月22日)によると、山本副大臣は7月21日、「『政治とカネ』に絡んで自民党に逆風が吹いているので、会場の人を和ませるために冗談を言った」「話した内容は事実ではなかった」として発言を撤回した。同じ7月21日の日本テレビ系列の取材に対しては山本副大臣は「うそというか、うそをついた覚えはないけども、発言は適切じゃなかったということで、誤解を受けるということで取り消させて頂きたい」と話し、その模様がニュースで報じられた。

   7月23日には、塩崎恭久官房長官が会見で「(冗談だとして撤回したが)悪すぎる冗談だ」と批判した。官房副長官を通じて「こういった発言を2度としないように」と厳重注意したと明かした。
   日本テレビ系ニュースで山本副大臣が7月21日に語った「うそをついた覚えはないけども」という表現について、J-CASTニュースは7月23日、山本副大臣の東京事務所に「撤回について、実は不満があるのでしょうか」と質問した。担当者は「結論は、(発言を)全面撤回しているということ。不満はもらしていません」と明らかにした。さらに「うそをついた覚えは~」の言い回しについては「だますなどの悪意から発言した訳ではない、ということを言いたかったのではないか」と解説したが、苦しい説明に聞こえなくもない。

   7月23日朝の日本テレビ系ワイドショー「スッキリ!」で、テリー伊藤さんは「仲間の前でしゃべっちゃった。あれ(副大臣発言)は本音ですよ」と感想を述べるなど、「冗談」の受け止め方は様々だ。

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