地震で被害にあったとき、通信手段として頼りになるのは携帯電話だ。2007年7月16日に発生した新潟県中越沖地震の場合はどうだったのか。固定電話と同様に通話制限がかかるため、地震発生直後は「全くつながらない」状態に、そして、2-3時間はかなり電話が通じにくくなったようだ。それに加えて、停電のせいで基地局がダウンするなど、影響が長引いたケースもある。
auも、発生直後から発信規制を60%かけた
中越沖地震を伝える7月17日の新聞各紙
地震の発生は7月16日10時10分過ぎだ。NTT東日本によると、固定電話の場合は、発生直後から最大87%の発信・着信規制をした。10回かけて1回つながるかどうかだ。16日13時40分には規制を解除した。一部地域300回線が不通だったが、17日未明に復旧した。「通信サービスへの影響はありません」としている。
携帯はどうだったのか。NTTドコモは、第2世代movaで最大87.5%の発信規制をした。発信規制は、災害地域からかける際の通話制限だ。ドコモによると、この規制は16日正午には解除した。新潟県などの人が県内からかけるのには規制がかからなくなったということだ。災害地域外からの携帯着信規制は50%で、発生直後から午後まで続いた。第3世代のFOMAも含め、すべての規制が解除されたのは16日22時43分だ。規制はなくなったが、停電の影響を受けた基地局が残っているため、17日夕現在も一部地域の山間部でほとんど利用できないエリアが残っている。
auブランドのKDDIも、地震発生直後から発信規制を60%かけた。一時90%以上の規制をした場所もある。着信は規制しなかった。全面解除は16日21時50分ごろだ。17日夕現在、高速道路のトンネル周辺の一部で利用しづらい状況が残っている。
04年の中越地震の時よりは「使えた」?
ソフトバンクモバイルは、通話規制をかけなかったものの、新潟県内で76基地局がダウンした。停電後のバッテリー切れのほか、「基地局をつなぐ有線の伝送路が切断されたため」という。一時新潟県内で広範囲に通信障害があり、17日夕現在でも一部地域の障害が残っている。
もっとも、電話が通じたかどうかは、通話規制の有無だけでは分からないらしい。ただ、地震が発生して、少なくても2-3時間はかかりにくい状態が続くのは確かなようだ。
現地の使い勝手はどうだったのか。J-CASTニュースが新潟県庁の災害対策本部広報班に取材すると「前(04年の中越地震)より、携帯は比較的使えましたよ」と答えた。地震当日の16日午後、広報班は固定電話から固定電話への連絡が多かったが、同僚の中には出先の関係者と携帯電話を使って仕事をしていた人もかなりいたそうだ。「勿論地域差は大きかったと思いますが、基地局用に電源を確保するなど、全般的には携帯の復旧作業が改善された印象です」
もっとも地震発生直後は「全くつながらない」状態の人が多かったとみられ、安否確認は「災害用伝言板」を使った方がよさそうだ。