数あるIT企業のなかで、IT技術者が一番働きたいのはグーグル(Google)――こんな結果が日経HRの調査で明らかになった。世界最大手の検索エンジンということもさることながら、「リーディングカンパニー」「自由さ」などでITエンジニアから絶大な支持を誇るグーグル。そこには、エンジニアの「発想」を促す「タダ飯」や「娯楽設備」の仕掛けもあった。
「3食までは行かないが、2.5食くらいは社内で済ます」
IT技術者が1番働きたい「Google」では「タダ飯」が出る
2007年7月16日付けの日経新聞が報じた日経HRの2007年版ITエンジニア調査で、IT技術者が働きたいIT企業のトップに検索エンジン大手「グーグル(Google)」が輝いた。働いてみたいIT企業を複数選択でたずねたところ、32.6%がグーグルを選択し、2位の「日本IBM」(23.3%)、3位「マイクロソフト」(22.8%)を大きく上回った。グーグルは、「将来性」「先進性」での評価がIT企業のなかでトップだった。日経新聞によれば、調査は07年4月初旬にインターネット上で、IT技術者1,073人からの回答をもとに行ったという。
グーグルの人気はなぜここまで高いのか。グーグル日本法人広報はJ-CASTニュースに対し、
「(エンジニアが最も働きたいIT企業No.1は)ありがたいこと。でも、(トップになった)理由は他のひとに聞いた方がいいのでは。技術の会社で、技術に力を入れていますが」
と答えた。そこで、J-CASTニュースがIT技術者数人に「グーグルで働きたい理由」を聞いてみた。「自由さ。自分の興味の持ったことをできることが技術をやっている人間としては嬉しいし、モチベーションが上がる」(33歳、システムエンジニア)「ネット界のリーディングカンパニーだし、検索でタイムリーなネタの収集率が圧倒的にスゴい。Google EarthやGoogle Mapなど意欲的に新しい試みをしているので、自分のアイディアも形にできそう」(33歳、ネットワークエンジニア)と、やはりグーグルの「自由さ」と「技術」がエンジニアのあいだでは高評価につながっているようだ。
しかし、それ以上にグーグルにはエンジニアの「発想」を活発にする仕掛けも用意されている。
例えば「タダ飯」は社内でも当たり前のようで、会社から無料で食事や「おやつ」が提供され、「3食までは行かないが、2.5食くらいは社内で済ます」のだという。さらに社内にはボタンを押すだけでジュースが飲める無料自動販売機まで設置されている。「他の国ではこれが冷蔵庫だったりしますが、どの国でも同じ環境で同じことができるのが(グーグルの)基準です」と、「タダ飯」は世界のグーグルでも「基本中の基本」といった具合のようだ。
グーグルには社員一人ひとりの個室がない
さらに、ダーツ、ビリヤード台、などなど娯楽設備も「きりなくいっぱいある」ほどの豊富さ。しかし、それもこれも理由がある。
「いろんなセクション、いろんな国の人がコミュニケーションを取るのが目的で、コミュニケーションから様々なプロダクトが生まれるという考え方です」(広報)
つまり、食事を一緒にしたり、娯楽を一緒にすることでコミュニケーションを活性化し、そのコミュニケーションのなかで新しいものを生み出す、というのが狙いのようなのだ。そのため、採用時にも「コミュニケーション能力」が最も重要視される能力の1つなのだという。
さらに、グーグルには社員一人ひとりの個室がない。グーグル日本法人でも、法人取締役代表の部屋どころか、部屋という区切り自体もなく、米グーグルでも創業者は2人部屋なのだという。それも、コミュニケーションを重視した結果だ。
そこで気になるのが労働時間と給料。07年6月28日のCNETでは「嘘か誠か?元社員が明かすグーグルの職場環境と待遇」という記事が配信され、元グーグル社員とされる人物が「毎日午前10時から午後6時までは社内にいる。けれども、ほとんど全員、1日24時間365日メールで連絡が取れる状態にあり、たいていの人は夜、家に帰ってからもずっと仕事をしている」「Googleの給料は実際のところMicrosoftより少ない」などと証言したなどと報じている。
グーグル日本法人の広報は、
「グーグルのどの国でも(この記事についての)コメントは控えさせていただいている。個人の人が述べたことなので、グーグルでどうこう言うことではない」
としたほか、ここで言われている給料や労働時間についても回答できないとしている。ただ、その一方で
「労働時間は人によるのでケースバイケース。でも、たいていの人はそんなに残業していないと思う」
と話している。