サッカー日本代表がアジアカップ初戦で格下のカタール相手に痛恨のドローを喫した。これまでイビチャ・オシム監督については肯定的な評価が多かったものの、ここへきてオシム監督を疑問視する声がネット上で噴出している。3連覇がかかる大会の初戦で躓いたことで、スポーツ紙もオシム監督の「進退」について言及するものまで出てきた。
選手に「お前たちはアマチュアだ!」
「痛恨ドロー」でオシム監督の「進退」に言及するスポーツ紙も
2007年7月9日、B組の日本はアジアカップの初戦にカタールと対戦し1―1の引き分けに終わった。後半16分、高原(フランクフルト)が今野(FC東京)の折り返しを左足で合わせて先制。日本は、終始試合を支配し続けたが、決定的チャンスを「オシムチルドレン」(オシム監督の教え子)である山岸智、羽生直剛(ともに千葉)らが立て続けに外し、後半43分にカタールに直接FKを決められ、結局引き分けで終了した。
試合直後のインタビューでは、オシム監督は最初からテレビ朝日のリポーターと対峙。
「勝ち点3が手元からスルリと抜け出してしまった印象ですが・・・」
という質問に激高し、
「試合を観ていればどういう結果か分かると思いますけど。え?あなたはこの結果についてどう思うんですか?質問をもう少し考えてくださいよ!」
となじった。翌日のテレ朝のワイドショーでも「(アナウンサーは)とばっちりを受けてましたね」「怖い」と評されるほどの「ケンカ腰」だった。
怒りはロッカールームまで続いたようで、各紙の報道によれば、
「お前たちはアマチュアだ!俺はプロだから死ぬ気でこの試合に懸けていたが、おまえたちはそこまでいっていなかった」
と選手に怒りをぶちまけたという。さらに、どういうわけか通訳が号泣し、オシム監督の言葉を訳すのもままならなかったというのだ。アジアカップ3連覇が期待されているだけに、初戦ドローはオシムも激怒するほどの「痛い」ものだった。
これまで、トルシエ監督、ジーコ監督時もアジアカップで優勝。両監督にとって、アジアカップで4強に入らなければ進退が危うくなるというまさに「クビのかかった」大会だった。さらに、アジアカップで優勝を逃せば、W杯開催前に行われる「プレW杯」にあたるコンフェデレーションズ杯への出場権がなくなり、ワールドカップへの調整さえも懸念される。そんな過去と未来のかかった「アジアカップ優勝」なのである。
「オシムよ、人選ミスじゃないのか?」
これまで、「進退」について表立って言及されることがなかったオシム監督だが、今回の「痛恨ドロー」を受けて、オシム監督の進退について言及したり、選手の起用方法を疑問視するスポーツ紙も出はじめた。
07年7月10日のスポーツ報知は「選手交代に大きな疑問が残った」としたほか、「今大会で惨敗すれば辞任の可能性も示している指揮官が、いきなり窮地に追い込まれた」「1次リーグで惨敗すれば辞任に発展する可能性はある」と報じた。このほか、デイリースポーツも進退問題に言及し、「次戦の13日・UAE戦は勝つしかない"背水の陣"となる」と説明している。
また、ネット上のブログでも「オシムジャパン」に疑義を唱えるような書き込みが多くされるようになってきた。
「トルシエもジーコも優勝しましたよ。てゆーか、オシムって実は大したことない監督だったりして(笑)今までの実績はもう過去の栄光なんじゃないっすか?」
「試合後選手たちに『貴様らはアマチュアだ!!』と罵る始末 オシムよ、人選ミスじゃないのか?」
「アナウンサーに切れてもしょうがないだろ!」
もちろん、初戦に引き分けても「優勝」の可能性はまだある。ブログでは痛恨のドローを喫しても、一方でアジアカップでの上位進出を信じる書き込みが多いのも事実だ。
「大丈夫、残り2試合に勝って必ず1位で予選突破するはず」
「まぁここからオシムがどう立て直すか本当に楽しみ。腕の見せ所ですね。スタメンいじってくるのかな。予想としては優勝だったんだけど。ベスト4に修正」