筆者も悪質業者がかなり多いことは分かっていた
本では、あるおばあさんの体験談として、業者に「2本で1,000円」と言われたが、おすすめは1本5,000円で長持ちすると説明され、高い方を1本買った例が載っている。土台修理も勧められ、業者の知り合いの別の業者を紹介され10万円を請求された。そして「このように単価を上げるという方法は、会計的に考えるなら実に有効なやり方だ」と記している。「単価を上げずに商売しているさおだけ専門業者も多く存在するので(こちらが本流)、誤解しないでいただきたい」とフォローもしている。「費用を減らす」の項目では、さおだけを仕入れている金物業者が、「副業」として移動販売の「さおだけ屋」を営むため、「(元々仕入れていたので)仕入れの費用がほとんどゼロ」という解説だ。
国民生活センターが注意を呼びかけた悪質業者は、山田さんが書いているように「ごくごく一部」なのだろうか。J-CASTニュースの取材に対し、筆者の山田さんは「執筆のときは、あくまで会計に関する本だったので、控えめな表現にしました」と答えた。山田さんによると、調査の過程で悪質業者がかなり多い実態や組織的に取り組んでいる団体もあるという情報を得た。山田さんがマスコミ関係者に情報を伝え、取材に取りかかったマスコミもあったが実態を告発するには至っていなかったという。
センターが注意を呼びかけたことは、良かった。山田さんはそう感じている。むしろ「もっと早く、マスコミを含めて追及すべき問題だったと思う」。公認会計士で「会計のプロ」の山田さんができることは限られ、業界の暗部を取材するのは「取材のプロ」のマスコミにがんばってほしい、という叱咤激励という訳だ。
「さおだけ屋は~」の本を読んだという関東地区のあるさおだけ販売業者によると、「昔からそういう悪質業者は多かった」。この業者は、5年ほど前に自動車による移動販売をやめた。以降はインターネットのみで注文を取っている。なぜ移動販売をやめたのかと聞くと、「高額の竿を無理に売りつける同業者が増え、印象が悪くなって市場規模が縮んでいったから」という。多くの業者が移動販売の「さおだけ屋」稼業から離れていったそうだ。センターへの相談件数582件について聞くと、「氷山の一角とは言えるでしょうね」と答えた。最後に「なぜ(あなたの店は)潰れないのか」と質問すると、インターネットでは、量販店で買っても持って帰るのが面倒だし、移動販売で買うのは「高いのを売りつけられそう」と抵抗がある人が注文してくるようだという。関東地区以外からも注文が来る。もっとも、洗剤など扱い品目も増やしているそうだ。