「みんな騙されたと感じている」
では、定率減税廃止についてはどうか。総務省HPでは「変わりません」の下に少し小さな字で「ただし、平成19(2007)年からの定率減税廃止等に伴う税負担が生じます」とある。財務省HPでは赤字の「基本的に変わりません」の下に「定率減税の廃止」と小見出しを立てて制度廃止を伝えている。
総務省の広報誌5月号によると、年収500万円(独身)の場合、単純計算で月額を出すと、住民税1,000円増税などと合わせ3,200円の増税となる。年収700万円(同)だと計5,600円の増税だ。
税源移譲の点ではプラスマイナス「0」だったので、定率減税廃止に伴う増税分が丸々負担増だ。なぜ「増税」だと認めないのか。
総務省広報誌5月号では「これは住民税の増税ではないのですか」との質問に答えている。「1月から所得税が減り、6月から個人住民税が増えることになります」「所得税と住民税の合計額は、1年間の合計でみると変わりません」とやはり「変わらない」の説明を繰り広げている。その後、「ただし」と続けて「(略)定率減税の廃止による負担増の影響が生じること から、所得税における1月ごとの減額分と、住民税(略)増額分は一致しませんのでご留意下さい」と回りくどい「解説」をしている。
一方の財務省はHPで定率減税に触れ、「平成11(1999)年に臨時異例の景気対策として導入されたものですが、経済状況の改善を踏まえ、本来の税額に戻すこととしたものです」と、税金負担は増えたのではなく元に戻っただけとの考えを示している。
6月21日発売の週刊文春(6月28日号)は、「給与明細を見て愕然/住民税の引き上げで/税務窓口に苦情殺到」と報じた。「全国の役所の税務課窓口には苦情や問い合わせが殺到」「もはや取材の電話すら通じない」との税理士のコメントを紹介している。そして、経済ジャーナリストの荻原博子さんが「政府は『トータルな税額は変わらない』とPRする一方、定率減税については説明不足。(略)みんな騙されたと感じているんです」とコメントしている。