「医療崩壊」が深刻化 国の「対策」に批判

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勤務医と開業医の垣根なくせ、という意見

   では勤務医から開業医へという大きな流れに対し、オープンシステムはどう役立つのか。田島さんによると、訴訟リスクの面では、勤務医と開業医の垣根が消えれば、勤務医は危険で開業医は安全という差はなくなる。少なくとも医者の数の面で見ると、現行の勤務医の危険な仕事を勤務医と開業医を合わせた数で行うことになるため、負担の平準化にはなる。

   また、多くの開業医が複数の病院で仕事をすることで、従来のような同一病院の「親分子分」の縦の関係ではなく、横の技術交流が促される。優れた医師の技術がほかへ伝わりやすくなるし、競争の面から技術向上を磨かざるを得なくなる。そうすれば、難しい手術を伴う仕事への不安感も減少するはずだ。

   過去に複数の開業医が共同で病院を使うという取り組みが一部で行われ失敗したが、勤務医との融合を図るものでなく「オープンシステムとは似て非なるものだった」そうだ。

   田島さんの話を総合すると、今の勤務医には負担軽減になりそうだが、現行の開業医にはいいことがありそうにない印象が残る。しかし、田島さんは開業医のためにもなるという。優れた技術を学ぶことができる環境に身を置くことで向上心も満たされるし、高価な医療機器導入などによる経営面の圧迫から自由になり、医療行為に専念できる、などが理由だ。

   では、なぜ議論の表舞台に上がってこないのか。田島さんは、名指しはしなかったが、「現状のままで金銭的に不自由せず、変化を嫌う医師の団体と事なかれ主義の行政が呼吸を合わせているからだ」と話した。
   意見が分かれる面もありそうだが、この問題がようやく注目されだしたのは確かなようだ。

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