「ドリカムの人気が上がると株価も上がる」「サザエさんの視聴率が上がると株価が下がる」という分析が、ネット上で話題になっている。大和総研投資戦略部のチーフクオンツアナリスト吉野貴晶さんが研究して発表したものだが、いったいその根拠は何なのか。
極めて質素な磯野家は景気に悪影響!
「アナリストの著作によると「サザエさん」の視聴率が上がると株価が下がるそうだ
吉野さんが用いた分析手法は、経済学と心理学を使った「行動ファイナンス」と言うのだそうだ。では、「サザエさん」の視聴率が上がると株価が下がるという根拠は何なのか。それは吉野さんの著書「サザエさんと株価の関係 行動ファイナンス入門」(新潮新書)に詳しく書かれている。
同書によると、吉野さんが2003年1月から05年9月まで「サザエさん」の視聴率と、TOPIX(株価指数)をグラフ化してみたところ、視聴率が高いときは株価が下落し、逆に視聴率が低いときは株価が上昇する傾向があるのだという。この相関係数について吉野さんは「サザエさん症候群」を軸に理論を展開している。
ちなみに、「サザエさん症候群」というのは、日曜日にこのテレビアニメを見ると、休日の終わりを連想して憂鬱な気分になったり、一人暮らしの場合、田舎の家族を思い出してホームシックを感じてしまったりすることなどをいう。
日曜に家でテレビを見る人は外出はしていないわけで、さらに「サザエさん」を見て憂鬱になり、
「憂鬱な気分の人が多いよりは、陽気な気分の人が多いほうが経済が活性化するのは間違い無い」
としている。さらに、磯野家のライフスタイルにも注目。
「その(磯野家の)生活は極めて質素で、ブランド物を身に付けているわけでもないし、家の中にはパソコンすら見当たらない。子供たちは百貨店に行くだけで喜んでいるというレベルなのである」
つまり、磯野家のライフスタイルそのものが景気にあまり良い影響を与えていない、と分析し、株価に影響を与える根拠としている。