特別決議が可決されるかは個人株主の動向次第
だがそれ以前に、そもそも株主総会の特別決議が可決されるかどうかが不透明だ。ブルドック株の約3分の1は個人株主が保有しており、彼らの動向は流動的だ。ブルドック側の防衛策に多数が同調するかどうかはわからないし、さらに、スティールがTOBの買い付け価格を引き上げるなどして、個人株主への働きかけを強めて徹底攻勢に出ることもあり得る。
このTOBを巡る一連の動きの中で、考えねばならない重要な問題の一つは、ブルドックはそもそも、企業価値や株主の共同利益を高めるために、これまでどれだけ努力を積んできたかということだ。
今回、対抗策と同時に生産拠点の集約などを盛り込んだ事業計画を発表したが、TOB問題が発生しなくても同様な取り組みをする意思はあったのか。スティールに株式を大量保有されながら、買収防衛策を事前に導入していなかったのはなぜか。こんな疑問の声がある。株主がブルドックの姿勢を慎重に見極めて行動した場合に、その振り子はどちらに振れるのだろうか。