パチンコチェーン業界の再編が2007年の秋にかけて一気に進みそうなのだという。金融機関の融資が慎重になっているのは確かなようで、資金力が弱く業績がよくない中小会社が淘汰される可能性が出てきた。
パチンコチェーンの倒産は06年から急増
パチンコチェーンの倒産問題を指摘するブログも登場
ファイナンスのアレンジメント会社を経営し、「思うように資金調達ができない方へ」のブログを開設するbhycomさんはJ-CASTニュースの取材に対し、パチンコ業界と金融機関についてこう説明した。
「一番大きな問題点は、射幸心を煽るスロット機械の規制。スロットの5号機問題が、パチンコ業界の売上を激減させ、業績が悪化する懸念があります。銀行など金融機関もノンバンクも、パチンコ業界へのファイナンスに対し非常に慎重になっていて、言わば様子見の状況になっているようです」
「5号機問題」とはこんなことだ。
04年7月に施行された遊技規則により、大当たりが出て人気だった「4号機」が07年6月末で撤廃される。7月からは「5号機」と呼ばれる機種を設置する。しかし、この「5号機」はギャンブル性が低いため、パチスロファンが満足できない可能性がある。ホール側は、人気が出るかわからないのにかかわらず、1台30万円台という機種を導入しなければならない。その資金をどう工面するかが問題だ、というのだ。
実は、パチンコチェーンの倒産は06年から急増している。パチンコ・パチスロ台の入れ替えに伴う資金難が背景にあるといわれている。朝日新聞は07年4月12日付けでこう書いている。
「商工リサーチによると、06年のパチンコ店倒産は前年の3割増の102件、負債総額は7割増の1773億円と大型化した。今年も2月までに20件の倒産があった。大型パチンコ店の淘汰が進み始めた背景には、減っている顧客の獲得競争の激化で、店舗の大型化とゲーム機の頻繁な入れ替えのための巨額の投資負担がある」
新機種への入れ替えを早めて負担が重なる
「レジャー白書」によれば、パチンコ参加人口は05年で1,710万人。95年が2,900万人だから約1,200万人減少した。その減った客を奪い合う形で、ホール側は店内のパチンコ・パチスロ機の新機種への入れ替えサイクルを早めたことで負担が重なり、倒産が増えていったのだ。
07年4月27日には業界第6位のダイエー(本社・会津若松市)が東京地裁に民事再生法の適用を申請した。同社は06年12月に東京進出を果たした急成長の会社だっただけに、業界関係者を驚かせた。経営が傾いた理由は、新規出店による借入金の増加と、パチンコ・パチスロ台の入れ替え費用がかさんだこと。そして、金融機関から融資を受けようとしたが、「金融機関、ノンバンク、リース会社などが様子見に回る」(日刊工業新聞07年5月28日付け)ため、民事再生法申請に追い込まれたようだ。
先のbhycomさんは、ほかにも理由があるのではないかという。
「業界の財務内容の透明性が低いことも、融資を慎重にさせていますが、未確認情報ですが、パチンコ業界から北朝鮮などへの不正送金問題も慎重にさせる理由になっている模様です」
これがどの程度影響しているのかは分からないが、こうしたこともあって、業績の良くない会社や小規模の会社は資金調達が難しく、この秋に再編が一気に進む可能性が出ているという。