「もったいない」がブーム? 商社や自治体が取り組む

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   「もったいない」という言葉が、最近広がりを見せている。ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんが来日した際に、この言葉に感銘を受けたのがきっかけだ。その後、商社が「もったいないブランド」を開発したり、自治体が「もったいない家族」という省エネキャンペーンを展開するなど、言葉自体は確実に普及しつつある。

日本人の生活の魂が込められた哲学

岐阜県では「もったいない家族」を募集中だ
岐阜県では「もったいない家族」を募集中だ

   そもそも、この「もったいない」ブームのきっかけは、当時ケニアの環境副大臣だったマータイさんが05年2月に来日した際に「もったいない」という言葉を知って感銘を受け、小泉首相(当時)との会談で「この言葉を世界に広げよう」と意気投合したことにある。同年3月の国連の会議では、この言葉を環境保護の合言葉として紹介、会場を埋めた参加者と「MOTTAINAI」の言葉を唱和した。「もったいない」は、この年の環境白書などにも盛り込まれた。

   伊藤忠商事は参加企業を募り「MOTTAINAI」ブランドの商品を開発、06年4月には、リサイクルできるポリエステル製ネクタイを発売している。ネクタイとして使用できなくなったら、繊維原料として再生できる仕組みだ。

   国内に、「もったいない」が急速に広がったのは、06年7月の滋賀県知事選挙だ。自民・民主・公明が推薦する現職候補の3選が確実視されていたが、「もったいない」をキャッチフレーズに新幹線の新駅やダムの建設に反対した環境学者の嘉田由紀子氏が、大方の予想に反して当選を果たしたのだ。

   嘉田氏は、当選後も「もったいない」をテーマに各地で講演を行い、「もったいない精神」の普及に努めている。例えば、生まれ故郷の埼玉県本庄市で07年5月に行った講演では、

「もったいないは日本人の生活の魂が込められた生活哲学。もったいないを生かす未来づくりこそ大事」

と、この言葉に込められた精神を強調している。

岐阜県で「もったいない家族」キャンペーン

   滋賀県のお隣の岐阜県では、「もったいない家族」というキャンペーンを企画している。市民からの登録を募り、「シャワーの時間を1日1分減らす」「冷暖房の温度設定を見直す」などの省エネに関する宣言をしてもらう。その家で、07年7月から12月までの半年間、光熱費を毎月チェックする「環境家計簿」をつけ、県に提出する。県では、著しい成果を上げた例や、ユニークな省エネの取り組みについては、表彰したり、ウェブサイトで広く広報したい考えだ。

   県の地球環境課では、

「『もったいない』の精神を実践していただくのはもちろん、家庭から排出される二酸化炭素の量はかなりの量ですので、それを削減していきたい、という狙いもあります」

と話している。県では、1,000世帯の登録を目標にしている。

   07年6月6日には、「MOTTAINAIキャンペーン」の関連グッズを購入できるオフィシャルサイトもオープンした。1クリックで植林活動に募金できる「クリック募金」という仕組みも備わっている。

   これらの動きを通して、「MOTTAINAI」の精神は、日本人にとって、ますます身近なものになっていきそうだ。

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