「PS3」より「PS2」が売れるという「珍現象」が起こっているという。「PS3」の苦戦を裏付けるように、ソフトのほうにも変調が見え、ゲーム雑誌「週刊ファミ通」のゲームソフト販売ランキング「ファミ通TOP30」(2007年6月15日号)を見ると、トップ30本の中に「PS3」用ソフトが一本も入っていない。なんと、ランキング1位と3位は「PS2」用だった。
ランクトップと3位は、なんと「PS2」用ソフト
ランキングでは、「PS2」用ソフトが上位に食い込む
07年6月15日号の売り上げランキングは、07年5月14日~同20日の調査。「トップ30」に入っているソフトの内訳は、「ニンテンドーDS」用が21本。「Wii」用が5本。「PSP」用が2本。「DS」用が圧倒的シェアで「PS3」用ソフトは一本も入っていない。
「ファミ通」を出版しているエンターブレインはJ-CASTニュースの取材に対し、
「DSはロングセラーソフトが多く、一方でPS3用ゲームは新作が出なかったことが影響している。『期待のタイトル』が出ないことには、ランキングの上位に入るのは難しい」
と分析した。
一方で「珍現象」も起きている。同ランキングで売り上げトップの「シャイニング・ウインド」、3位の「オーディンスフィア」は、なんと「PS2」用ソフトなのだ。セガの「シャイニング」は人気シリーズであり、アトラスの「オーディンスフィア」も人気シリーズの作者が手がけ、発売前から話題になっていた。
この2本の発売が影響したのだろうか、「週刊ファミ通」によるハードの推定販売台数は「PS3」の8189台に対し、「PS2」が逆転し11749台。ハード別のソフト販売割合でも、なんと、「PS2」が「Wii」を抜き先週比13.3%増の23.6%とシェア2位に躍進したのだ。
「PS3」でも「PS2」用ソフトが遊べるため、この集計結果からは「PS3」を見限って「PS2」に戻って行った、と考えることもできる。そもそも「PS3」は発売時に、スペックの無用と思えるような高さと、価格も高いため「ゲームはPS2で十分」というカキコミが、ネット上の掲示板に多くあった。
「PS3」、ソフトもハードも「これから」
ソニー・コンピュータエンタテインメントは、こうした動きをどう捕らえているのか。同社広報はJ-CASTニュースの取材に対し、「ファミ通」がどんな集計をしているかわからないためコメントしにくい、としながら、
「PS2は非常に強く、06年末の商戦を含め、世界中で相変わらず好調で、今後も売れ続けていくと思います」
と息の長いプラットフォームであることを強調。一方で「PS3」の話題になるとトーンが落ちる。
「夏に向けて新作ソフトを取り揃えているわけで、(期待のタイトルの発売は)『これから』なんです。ハードについては、大画面テレビの普及などで、PS3の機能を十分に理解いただけるようになっていきます」
と話している。つまり、ソフトもハードも「これから」というわけだ。先のエンターブレインも、
「ファミ通に『期待の新作』コーナーがありますが、PS3用ソフトに期待するファンが多く、それらが発売されれば、上位にランクインするだろうと考えています」
と、「PS3」人気に火がつくとすれば、やはり「これから」のようだ。